研究課題/領域番号 |
24591167
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
青野 純典 徳島大学, 大学病院, 講師 (50398004)
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研究分担者 |
後東 久嗣 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (00437641)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 肺線維症 / サーファクタント / SP-D / 増殖因子 |
研究概要 |
1.Dox投与下にサーファクタントプロテイン(SP)-Dを産生するコンディショナルマウス(iSP-Dマウス)に対し、Dox投与(SP-D産生)あるいはDox非投与(SP-D非産生)下にAlzet mini-osmotic pumpを用いてBLMを1週間かけ持続皮下投与することにより肺胸膜直下に線維化を呈するモデルを作成した。SP-D非存在下ではマウス肺組織中のコラーゲン量ならびに線維化の程度の指標となるAshcrof scoreが有意に上昇しており、BLM誘発肺線維化が増悪することを示した。 2.BLM投与マウスに対しタイムコースをとって気管支肺胞洗浄(BAL)を施行した。その結果、BLM刺激によりBAL液中の総細胞数が増加がみられたが、SP-D非存在下では総細胞数がさらに増加しており、特にマクロファージの増加が顕著であった。 3.ELISA法を用いてBAL液中サイトカイン、増殖因子などを測定した。その結果、TNF-αをはじめとする炎症性サイトカイン濃度はSP-Dの有無により差はみられなかった。一方でSP-D非存在下でBAL液中のTGF-βやPDGF-AAといった増殖因子が有意に上昇していることが判明した。 4.これらの増殖因子産生細胞を検討するためにマウス肺組織における免疫染色を施行した。その結果、主にF4/80陽性のマクロファージ系細胞においてTGF-β1、PDGF-Aが共染色されていた。 以上からBLM誘発肺線維症モデルにおいてSP-DはマクロファージからのTGF-β、PDGFなどの増殖因子の産生の調節に関わり、肺線維化を制御している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SP-Dを産生しないマウスではBLM誘発肺線維症が増悪することを証明し、そのメカニズムの一部は、マクロファージからのTGF-β、PDGFなどの増殖因子の産生調整作用にある可能性がin vivoにて証明できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、in vitroにおけるSP-Dのマクロファージ活性調節作用検討を予定している。in vitroでSP-D存在、非存在下にマウス肺胞マクロファージを培養し、PCR法やELISA法を用いてマクロファージからの増殖因子産生の変化を検討する。また肺線維症における骨髄由来細胞の働きとSP-Dによる調整作用を検討するためにGFPトランスジェニックマウス由来骨髄細胞をSP-Dノックアウトマウスに骨髄移植したキメラマウスを作製する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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