研究課題/領域番号 |
24591169
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
森本 浩之輔 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (50346970)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小胞体ストレス / 炎症終息 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、ストレプトゾトシンで誘導した糖尿病マウスの肺や肺胞マクロファージに生じる機能異常が、小胞体ストレスに対する反応(UPR)の低下によるものであることを証明するため、より定量的なCHOP、IRE1、BiPなど小胞体ストレス反応蛋白の検出法の確立を行った。当初Western Blottingで行っていたものを、より高い定量性を求めてリアルタイムPCRで行った。糖尿病マウスの肺胞マクロファージはナイーブな状態では小胞体ストレスが強い状態にはなく、炎症のある状態で小胞体ストレスが誘導されている可能性を考慮し、TNF-αやLPSによる刺激後の小胞体ストレスの強さをコントロールと比較した。その結果、糖尿病においては、生体防御反応としてのUPRが正常と比較して弱いことを確認した。しかしながら、反復して実験を行ったところ、十分な再現性が得られずex vivoで刺激を受けやすい肺胞マクロファージの性質が問題と思われた。そこでin vitroで糖尿病状態を再現するため、高血糖培地やインスリン欠乏培地を用いて検討を加えた。その結果、インスリン欠乏状態(細胞内飢餓)において、小胞体ストレスが誘導されることを確認し、糖尿病における病態との関連を考慮する方針となった。 一方、小胞体ストレスによる肺胞マクロファージのアポトーシス細胞貪食機能の低下に、RhoGTPaseの活性化が関与している可能性について、引き続きより詳細な検討を加えた。小胞体ストレスを加えたJ774マクロファージにおいて、RhoA活性化を確認していたが、ROCK活性化をもELISAを用いて確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小胞体ストレス反応蛋白のリアルタイムPCRの条件設定に時間と手間を要したため、全体として遅れが出た。
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今後の研究の推進方策 |
小胞体ストレスとそれによるアポトーシス細胞貪食の低下が、糖尿病における肺炎の終息遅延と関連していることを証明するための細胞実験を続行する。インスリン欠乏状態による細胞内飢餓による小胞体ストレスがアポトーシス細胞の貪食の低下を来していることを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
リアルタイムPCRシステムの構築に時間を要し、細胞実験が十分に遂行できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
細胞実験とPCRの試薬に使用する。
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