最終年度までに、タバコ抽出液がマクロファージに小胞体ストレスを生じ、これがRhoAを活性化することを確認したが、最終年度においては、これらがタウロウルソデオキシコール酸で回復することを確認した。さらに、HGFの産生抑制のメカニズムを明らかにするため、リアルタイムPCRを引き続き試み、また、eIF2阻害薬などを購入して、小胞体ストレスがどのようにefferocytosisやHGF産生の抑制に関与しているのかを明らかにする実験を行った。 研究期間全体を通じて、マクロファージにおいて生じた小胞体ストレスはefferocytosisを抑制することを見いだし、これが、ツニカマイシンとタプシガルジンともにおきることから小胞体ストレスに普遍的な現象であることを確認した。また、このメカニズムはRhoAの活性化によることを、その活性化を確認することやROCK阻害剤のY27632で改善することによって明らかにした。また、同時に、小胞体ストレスによって、efferocytosisの際に産生される肝細胞増殖因子も抑制されたが、これはRhoAの活性化やefferocytosisの抑制とは関係していなかった。 さらに、タバコ煙抽出液によってマクロファージのRhoAが活性化することを確認し、上記のように、化学シャペロンを加えることによってこれを抑制することができた。 喫煙によるマクロファージの機能低下は、肺気腫や慢性気道炎症の原因と考えられているが、小胞体ストレスに焦点をあてることによって治療対象としての可能性を見いだした。
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