ARDSは予後不良の肺疾患である。インフルエンザモデルを用いて解析した結果、酸化ストレスに応じて8-ニトロcGMPが産生され、酸化ストレス応答因子を誘導し防御能を発揮することがわかった。最近、蛋白異化の過程で内因性に産生される硫化水素イオン(HS-)が8-ニトロcGMPを消去する現象を見いだした。本研究では、HS-および関連化合物の生体濃度を質量分析法にて解析した。その結果、培養細胞および感染マウスの血漿や臓器においては、HS-ではなくCysSSHやGSSHといったポリスルフィド体が産生され、これらは8-ニトロcGMPを消去し、ARDSの病態や酸化ストレス応答に関連している可能性が示唆された。
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