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2012 年度 実施状況報告書

サーファクタント蛋白質による抗菌ペプチドの細胞傷害性抑制の分子機構解明と臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 24591173
研究種目

基盤研究(C)

研究機関札幌医科大学

研究代表者

有木 茂  札幌医科大学, 医学部, 講師 (80464478)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード肺サーファクタントタンパク質 / 抗菌ペプチド
研究概要

今年度の研究計画では、SP-A由来ペプチドをリコンビナントペプチドとして作製し、その機能解析を行なうことを予定していた。発現量の低さや精製効率の悪さから、リコンビナントペプチドの作製は非効率と判断し、ヒト肺胞洗浄液から精製したSP-Aを酵素的に切断しSP-A由来ペプチドを大量に調製して機能解析を行なった。
はじめに、糖鎖の有無によってヒトbeta-ディフェンシン3 (human beta-defensin 3: hBD3) の細胞傷害性を抑制する活性に変化があるのかを解析した。ペプチドの一部をグリコシダーゼ処理して糖鎖を切断し、このペプチドの存在下でA549細胞をhBD3処理した。その結果、糖鎖を切断したSP-A由来ペプチドは、未処理のペプチドと同程度にhBD3の細胞傷害性を抑制した。したがって、SP-A由来ペプチドの細胞傷害抑制活性には糖鎖は必須ではないと考えられる。
次に、hBD3の抗菌活性に対するSP-A由来ペプチドの影響を解析した。細胞傷害抑制効果がみられるhBD3とSP-A由来ペプチドの濃度比で解析を行なったが、SP-A由来ペプチドはhBD3の抗菌活性を抑制しなかった。
これらの結果は、SP-A由来ペプチドがSP-A分子全長を用いた時と同様に、hBD3の抗菌活性を阻害することなく細胞傷害性を抑制することを示している。今後、マウス感染モデルにhBD3とSP-A由来ペプチドを混合して投与した場合に十分な治療効果が得られるか、また副作用としての組織傷害が抑制されるかどうかを解析していく。今年度は、感染モデル作製にも取り組み、黄色ブドウ球菌を感染させたモデルマウス実験系を確立できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

リコンビナントSP-A由来ペプチドの作製は断念したものの、方法を変えることで十分量のSP-A由来ペプチドを得ることができた。このペプチドを用いて、本年度計画していた機能解析は終えることができた。また、次年度以降の実験に用いる感染モデルマウスの作製も計画通りに進めることができた。したがって、申請時の研究計画とほぼ同程度の進捗具合であり、現在までのところ順調にデータが得られている。

今後の研究の推進方策

現在までのところおおむね申請時の研究計画通りに進行しているので、今後も申請時の研究計画に沿って進めていく。具体的には、感染モデルマウスにhBD3とSP-A由来ペプチドを混合して投与した場合に十分な治療効果が得られるか、また副作用としての組織傷害が抑制されるかどうかを解析していく。治療効果としては、生存率と組織破砕液中に残存する細菌数を測定することで評価する。組織傷害の評価は、顕微鏡下での組織切片の観察と、組織洗浄液中に漏出してくるLDHの活性を測定することで評価する。

次年度の研究費の使用計画

今年度はSP-A由来ペプチドの調製方法を変更したために、使用する培地やプラスチック製品の数量が計画より少なくなり、次年度への繰越金が生じた。次年度以降は主に実験動物の購入、飼育費用、抗菌ペプチドの購入のために研究費を使用する計画である。研究計画に大きな変更はなく、研究費の使用計画は変更しない。実験動物を使った実験では、条件検討のための実験が想定以上の回数必要になる場合や、信頼性の高いデータを得るために本実験の回数を増やす必要のある場合が多い。このような理由から追加の実験動物や試薬を購入する際に繰越金を使用する。追加の購入が必要ないと判断される場合には、研究の進展に伴い新たに必要となる試薬の購入に使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Surfactant protein D inhibits adherence of uropathogenic Escherichia coli to the bladder epithelial cells and the bacteria-induced cytotoxicity: A POSSIBLE FUNCTION IN URINARY TRACT.2012

    • 著者名/発表者名
      Kurimura Y. et al.
    • 雑誌名

      J. Biol. Chem.

      巻: 287 ページ: 39578-39588

    • DOI

      10.1074/jbc.M112.380287

    • 査読あり
  • [雑誌論文] In vivo role of aldehyde reductase.2012

    • 著者名/発表者名
      Takahashi M. et al.
    • 雑誌名

      Biochim. Biophys. Acta-General subjects

      巻: 1820 ページ: 1787-1796

    • DOI

      10.1016/j.bbagen.2012.07.003

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Implication of antigenic conversion of Helicobacter pylori lipopolysaccharides involving interaction with surfactant protein D.2012

    • 著者名/発表者名
      Yokota S. et al.
    • 雑誌名

      Infect. Immun.

      巻: 80 ページ: 2956-2962

    • DOI

      10.1128/IAI.00345-12

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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