抗菌ペプチドは、感染に応答して宿主が分泌する生体防御因子の一つであり、幅広い感染微生物に対して強い抗菌作用を示す。本研究課題では、ヒトベータディフェンシン3 (hBD3) を新規感染症治療薬として応用するために、SP-Aペプチドと混合投与することが有効であることを示した。SP-Aペプチドは、hBD3投与に起因する組織傷害や過剰炎症を抑制するが、hBD3の抗菌活性は抑制しなかった。hBD3は多剤耐性菌に対しても抗菌活性を示すことから、既存の抗生剤では治療困難な感染症に対して臨床応用できることが期待される。
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