研究課題/領域番号 |
24591176
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
高橋 和久 順天堂大学, 医学部, 教授 (80245711)
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研究分担者 |
高橋 史行 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70327823)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 非小細胞肺癌 / Gefitinib / 耐性 / EMT / 幹細胞 / ZEB1 / 低酸素 / microRNA |
研究概要 |
EGFR活性型遺伝子変異を有する非小細胞肺癌(NSCLC)に対するGefitinib (EGFR-TKI)の効果は既知のものであるが、その一部は自然耐性を示し、治療の大きな障壁となっている。一方、癌の微小環境、特に低酸素環境は癌幹細胞性の維持やEMT誘導と密接な関連があり、治療抵抗性に寄与していると考えられる。我々は現在までに、gefitinib感受性NSCLC細胞株であるPC9細胞が低酸素環境においてgefitinib耐性を示すこと、また著明なEMTを引き起こし、EMT誘導因子の中でもZEB1発現が上昇していることを確認した。 近年、gefitinib治療後に残存する幹細胞マーカーCD133陽性のDrug-tolerant persisters (DTPs)の存在がEGFR-TKI耐性機序において注目されているが、低酸素環境によりgefitinib曝露後のCD133陽性DTPsの比率は著明に上昇した。またZEB1発現ベクターを構築し、ZEB1のoverexpressionにより著明なEMTを引き起こし、CD133陽性DTPsの比率は有意に上昇した。一方、ZEB1 knockdownではCD133陽性DTPsの比率は著明に低下し、低酸素誘導性gefitinib耐性もreverseすることも確認した。 現在、我々はこのgefitinib耐性機序を低酸素環境とCD133陽性DTPs、およびZEB1とmiR-200 familyなどのmicroRNAsの解析を通して詳細に検証しており、DTPsを標的としたEGFR-TKI耐性克服の新たな戦略構築を目標としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに我々は、EGFR活性型遺伝子変異を有する非小細胞肺癌(NSCLC)において、低酸素環境によりgefitinib曝露後に残存する幹細胞マーカーCD133陽性Drug-tolerant persisters (DTPs)の比率は著明に上昇することを見出し、またEMT誘導因子であるZEB1はCD133陽性DTPsを制御することを示唆するデータを得ている。よって比較的順調に研究は進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ZEB1発現やmiR200 family発現とDTPsとの相関を検証し、gefitinib耐性機序における幹細胞様集団と考えられるDTPsの関与およびEMT, microRNAsとの相関もより詳細に検証する。また低酸素環境下でgefitinib曝露後のDTPsをNOGマウスに移植し、In vivoでの腫瘍形成能やgefitinib感受性・抵抗性の評価も行う。そしてShZEB1やmiR200cのウイルス発現ベクター投与によるIn vivoでのDTPs制御とEGFR-TKI耐性克服を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
EMTや幹細胞性解析の実験が主体であるが、実験動物モデルを用いた腫瘍移植実験・遠隔転移実験やIn vitroあるいはIn vivoでのEGFR-TKI治療耐性実験も行う予定である。
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