研究課題/領域番号 |
24591177
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
吉川 美加 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90327792)
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研究分担者 |
瀬山 邦明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10226681)
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キーワード | BHD症候群 / 嚢胞性肺疾患 / 気胸 / 遺伝子検査 / 肺嚢胞 |
研究概要 |
気胸・多発性肺嚢胞を契機にBHD症候群が疑われた日本人Birt-Hogg-Dube症候群(BHDS)患者のFLCN(フォリキュリン)遺伝子診断をdenaturing high-performance liquid chromatography(DHPLC)法とダイレクトシーケンス法を用いて本年度も継続して行い、診断症例総数は200例を超えた。 現在までの結果をまとめても依然として日本人に多い変異は昨年度までと同様に、exon11のc.1285dupC、exon12のc.1347_1353dupCCACCCT、exon13のc.1533_1536delGATG、次いでexon7のc.769_771delTCCであった。 本年度の解析では本邦初の変異としてexon4のc.236C>A、exon9のc.1062+1G>A、exon9のc.1015C>T、exon9のc.922delG、exon12のc.301-2A>Gを確認した。 遺伝子変異が見られなかった患者13人に対してはゲノム欠失の有無をリアルタイムPCRを用いて評価したが、いずれもゲノム欠失例は見られなかった。 また、DHPLC法とダイレクトシーケンス法よりもハイスループットな診断法を求め、現在既にFLCN変異が確定した患者ゲノムに対してMultiplex Ligation-dependent Probe Amplification(MLPA)法とFLCNタンパク質のC末端とN末端を検出するウエスタンブロットを行い、結果の正確性と迅速性及び再現性などについての検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子検査の検体は全国から定期的に寄せられており、診断症例数を順調に増やすことができた。また、DHPLC法とダイレクトシーケンス法よりもハイスループットな診断法を求め、現在既にFLCN変異が確定した患者ゲノムに対してMLPA法とFLCNタンパク質のウエスタンブロットを行い、結果の正確性と迅速性及び再現性などについての検討を行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
BHDS患者肺線維芽細胞、shRNAによりFLCN遺伝子をノックダウンした肺線維芽細胞、変異型FLCN遺伝子を過剰発現させた肺線維芽細胞らについて遺伝子発現プロファイルを網羅的に解析する。 24年度に線維芽細胞の増殖に関わるTGFβシグナルに関連のあるサイトカイン(TGFβ1&2、TGFβ receptor、inhibin βA chain、SMAD3など)や細胞外基質タンパク質(collagen、elastin、fibronectinなど)をリアルタイムPCR法で検討し、BHDS患者肺線維芽細胞と対照肺線維芽細胞ではそれら分子の発現がやや異なる傾向を認めた。今後は、FLCN遺伝子発現が影響する他の分子を広く同定する目的で、発現解析用マイクロアレイにより遺伝子発現プロファイルを明らかにする。 日本人BHDS症例で高頻度に検出される4種類の変異型FLCN遺伝子(exon7のc.769_771delTCC、exon11のc.1285dupC、exon12のc.1347_1353dupCCACCCT、exon13のc.1533_1536delGATGの4種類)をクローニングし、コントロール肺線維芽細胞あるいはHFL-1に強制発現させ細胞機能への影響を検討する。変異型FLCN遺伝子を発現させた対照肺線維芽細胞あるいはHFL-1の機能(遊走、ゲル収縮能、増殖能)を検討し、野生型FLCN遺伝子を対照として過剰発現させたHFL-1の細胞機能と比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
急遽産休者の業務代行となったため、予算を大きく考えていた細胞培養実験及びマイクロアレイ実験を予定通りに行えなかった。 本年度実施を計画していた細胞培養実験、マイクロアレイ実験を行う予定である。
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