研究課題/領域番号 |
24591182
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
瀧川 奈義夫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60325107)
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研究分担者 |
木浦 勝行 岡山大学, 大学病院, 教授 (10243502)
山根 弘路 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50624897)
多林 孝之 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (60624898)
越智 宣昭 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80611615)
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キーワード | EGFR / 薬剤耐性 |
研究概要 |
非喫煙者肺腺癌の50-60%に上皮性成長因子受容体(epidermal growth factor receptor: EGFR)遺伝子変異が認められ、それらに対するゲフィチニブなどのEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の有用性が示されてきた。しかしながら、約1年で耐性となり肺癌の増悪が生じるため、私たちは新たな治療法の開発を前臨床試験として行っている。 まずは、次世代EGFR-TKIであるアファチニブが、EGFRエクソン19欠失遺伝子改変マウスにおいてゲフィチニブよりも有用であった。また、EGFR-TKI耐性機構の約60%を占める二次変異であるT790Mを有する肺癌に対して、血管新生阻害剤であるベバシズマブとの併用がゼノグラフトモデルにおいて有効であった。 次に、STAT3はJAKファミリーキナーゼを介して活性化されるが、EGFR遺伝子変異を有する肺癌細胞株においてJAK1/2阻害剤であるAZD1480は、in vitroでゲフィチニブ感受性および耐性細胞株に同等の効果を示した。ゼノグラフトモデルにおいてもAZD1480は単剤で血管新生を抑制し腫瘍縮小効果を呈し、EGFR遺伝子改変マウスの生存期間も延長した。 さらには、これまで報告されてきたEGFR-TKI耐性機序とは異なるSRCを介するERKへのバイパスシグナルを有するゲフィチニブ耐性細胞株(PC9-GR)を樹立した。SRC阻害薬としてのダサチニブとゲフィチニブを併用すると、感受性が回復することをin vitroおよびin vivoで示すことができた。 以上より、EGFR-TKI耐性肺癌細胞株とマウスモデルにおいて、次世代EGFR-TKI、JAK/STAT3阻害剤、およびSRC阻害剤とEGFR-TKIの併用療法の有用性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験は計画どおりに順調に進み、論文発表も行った。
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今後の研究の推進方策 |
残りの一年では、mTOR阻害剤を投与されたマウス腫瘍組織の解析を中心に行う。また、それぞれのEGFRチロシンキナーゼ阻害剤の耐性機序に対応して、最も効果のある新規のmTOR阻害剤、血管新生阻害剤、JAK/STAT3阻害剤の使用方法を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物実験のマウスの購入が遅れたため。 動物実験とそれに関連した試薬等の物品費に使用する。
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