研究課題
一酸化窒素合成酵素欠損マウス(i/n/eトリプルNOSノックアウトマウス)を用いて、間質性肺炎のモデルマウスとしてブレオマイシン(BLM)肺炎モデルを作成した。対照群では、いずれのNOSノックアウトマウスにおいても、明らかな病理学的変化を認めなかった。BLM投与14日目の評価では、n/i/eNOS-/-マウスで有意な肺重量の増加を認めた。HE染色・Masson trichrome染色にて、いずれのNOSノックアウトマウスにおいても、肺炎症・線維化の所見を認め、炎症・線維化の程度は、i/n/eトリプルNOSノックアウトマウスにおいて最も強く認められた。Masson trichrome染色における線維化の面積の評価やコラーゲン量は、いずれもi/n/eトリプルNOSノックアウトマウスにおいて増加していた。BALF所見では、i/n/eトリプルNOSノックアウトマウスではその他のマウスと比較して総細胞数の有意な増加を認め、リンパ球の数に関しては、i/n/eトリプルNOSノックアウトマウスで有意に増加を認めた。蛋白濃度もi/n/eトリプルNOSノックアウトマウスで有意な増加を示した。IL-1β・IL-6・TNF-αの肺mRNAレベルは、WTマウスと比較して、n/i/eNOS-/-ではいずれも発現量の有意な増加を認め、一方で、IFN-γは有意な減少を認めた。肺内におけるTGF-β1の発現については、mRNAレベル、蛋白量ともに、WTマウスと比較して、i/n/eトリプルNOSノックアウトマウスで有意な増加を認め、TGF-β1は肺線維化に重要な役割を果たしていることが考えられた。NOSシステムの完全欠損によるNOの欠損は、ブレオマイシン肺線維化モデルにおいて、肺の炎症や肺線維化の著しい悪化を示し、肺線維化においてNOが重要な保護的役割を示していると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
間質性肺炎モデルについてはモデルの作成が終了し、結果をまとめ論文投稿中である。また、現在、気道炎症モデルについても検討中である。以上より、本研究についてはおおむね順調に進展していると考えられる。
本研究は、上述のようにおおむね順調に進展しており、今後は気管支喘息や肺気腫、COPDモデルの作成による気道病変や気腫化病変についての 評価を進展させるように動物モデルを作成している。また、感染症における一酸化窒素(NO)の役割についても下気道感染モデルなどの作成を検討中である。
物品の購入に際して、1円余りました。昨年度と同様に、遺伝子改変マウスの飼育、および試薬の購入に当てる予定です。
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