腎障害の原因として糸球体上皮細胞(ポドサイト)と内皮細胞のクロストークは重要であり、糸球体の濾過膜を挟んだポドサイトと内皮細胞の直接的もしくはエンドクリン/パラクリン的な相互作用の破綻が疾患発症や進展に寄与していると考えられている。我々はヒト臨床における血栓性微小血管炎(TMA)の事案から、ポドサイト領域に豊富に存在する血栓形成や炎症反応の中心的物質であるプラスミノーゲン活性化阻害因子(PAI-1)に注目し、腎炎モデル動物でのPAI-1の関与とインシリコ技術で合成された新規PAI-1阻害薬の有効性を検証し、糸球体腎炎発症に関するPAI-1の役割と抗炎症作用を介した腎炎治療の可能性を見出した。
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