炎症性疾患では、白血球などの免疫担当細胞が活性化され、炎症促進/免疫抑制バランスに異常を来すことが知られている。糖尿病性腎症では免疫担当細胞に加えて、腎固有細胞も活性化されるが、その免疫バランスに関しては明らかではない。そこで本検討では糖尿病性腎症における腎固有細胞の免疫バランスについて検証を行った。高糖刺激した腎固有細胞では、炎症促進系に働く分子のmRNA発現が亢進している一方、免疫抑制系分子のmRNA発現が低下していた。これらの結果は、糖尿病性腎症において、腎固有細胞でも免疫バランスが破たんし、このことが慢性炎症の遷延化から疾患の進展に寄与しているものと推測された。
|