研究課題/領域番号 |
24591195
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長船 健二 京都大学, iPS細胞研究所, 准教授 (80502947)
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キーワード | SALL4 / OSR1 / 腎臓 / 中間中胚葉 / 尿管芽 / 集合管 / iPS細胞 / ES細胞 |
研究概要 |
ヒトES細胞(embryonic stem cell; 胚性幹細胞)やiPS細胞(induced pluripotent stem cell; 人工多能性幹細胞)から試験管内で腎細胞を選択的に分化誘導する方法は確立されていない。申請者らは既にヒトiPS細胞から腎臓構成細胞のほぼすべてを派生させる胎生組織「中間中胚葉」を高効率に分化誘導する方法を確立している。本研究の目的は、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD) や常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD)など腎集合管に病変を生じる疾患に対する新規疾患モデルを作製するために「ヒトiPS細胞由来中間中胚葉」から胎生腎組織「尿管芽」を経て「集合管細胞」を分化誘導する方法を開発することである。H24年度に、増殖因子と化合物の組み合わせ処理を検討し、ヒトiPS細胞由来の中間中胚葉から20-30%程度の効率にて尿管芽マーカーSALL4陽性細胞を分化誘導する方法を開発した。また、SALL4のレポーターヒトiPS細胞株を樹立した。H25年度は、増殖因子と化合物の組み合わせ方法をさらに改良し、尿管芽細胞の分化誘導効率が50%以上に向上させる方法を開発した。そして、レポーターヒトiPS細胞株とフローサイトメトリーを用いて、ヒトiPS細胞より分化誘導されたSALL4陽性細胞を生存したまま単離を行った。そして、マイクロアレイによる詳細な遺伝子発現解析や免疫不全マウスへの移植などの機能試験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H25年度には、H24年度に開発した分化誘導法でヒトiPS細胞由来中間中胚葉から作製した尿管芽マーカーSALL4陽性細胞をレポーターヒトiPS細胞株を用いて単離し、マイクロアレイによる遺伝子発現解析と試験管内での培養や免疫不全マウスへの移植による分化能の評価など尿管芽としての機能評価を行うことを予定していた。しかし、H24年度の方法で作製されたSALL4陽性細胞は、他の尿管芽マーカーとして知られている遺伝子の一部において発現が弱いことや、分化誘導効率も20-30%と移植などの機能試験を行うには効率が十分ではないため、まず分化誘導法の改良を行った。その結果、尿管芽マーカー遺伝子の発現が十分に認められる細胞を50%以上の効率で作製できる方法を確立し、マイクロアレイによる遺伝子発現解析と機能試験を開始した。よって、計画よりはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロアレイによる遺伝子発現解析を進め、マウス胎児尿管芽の遺伝子発現と比較検討する。尿管芽に発現することが知られている既知の遺伝子の発現確認と新規の尿管芽マーカー候補遺伝子の同定、マウス胎児後腎の尿管芽での発現を免疫染色あるいはin situ hybridization法にて確認し、新規の尿管芽マーカー遺伝子のリストを作成する。また、ヒトiPS細胞から誘導されたSALL4陽性細胞を単離し、試験管内でさらに分化させることや免疫不全マウス腎被膜下などへの移植後にin vivoの環境で分化させることにより、集合管や腎盂、尿管、膀胱など尿管芽由来器官の細胞に分化するか否かを検証する。また、マウス胎児後腎間葉との共培養実験を行い、間葉を糸球体や尿細管上皮からなるネフロン構造に誘導する尿管芽としての発生生物学的機能を有するか否かを検証する。以上より、ヒトiPS細胞から作製された尿管芽マーカー陽性細胞が、生体内の尿管芽と同等の機能を有するか否かの綿密な検証を行う。次に、ヒトiPS細胞由来の尿管芽細胞から腎集合管細胞への分化誘導剤を探索するスクリーニングシステムの構築と分化誘導法の開発研究に進展させる。
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