研究課題
シスチン尿症(OMIM220100)は、腎近位尿細管のシスチン再吸収不全により生じる常染色体劣性の遺伝性疾患であり、腎近位尿細管管腔側の1回膜貫通型蛋白 rBAT(SLC3A1)と12回膜貫通型蛋白b0,+AT(SLC7A9)の二つのサブユニットからなるヘテロ二量体型シスチン輸送体の変異により発症する。一方で、どちらにも変異の見られない症例が存在することから、さらに未知の輸送体の関与が示唆されてきた。本研究では、b0,+ATと同じファミリーに属する輸送体SLC7A13が長年不明であったrBATの第二の結合パートナーであり、尿細管シスチン再吸収に寄与するものであることを実証して、シスチン尿症の新規原因遺伝子候補として提示することを目指した。本研究の成果は、尿細管シスチン輸送機構の長年のパラドックスを解決し、尿細管物質輸送生理学に新たな展開をもたらすものと期待される。平成26年度は、前年度までに明らかにしたSLC7A13のシスチンを含むアミノ酸輸送活性の特性についてさらに詳細を検討した。さらに、SLC7A13のシスチン取り込みが近位尿細管S3分節の管腔側膜上でグルタミン酸輸送体と機能的相互作用しうることを明らかにした。また、共同研究によりrBAT欠損マウスにおいて、SLC7A13タンパク質が近位尿細管管腔側膜に発現しないことを明らかにした。これによって、rBATがSLC7A13の第二の結合パートナーであることが、裏付けられた。rBAT欠損マウスの尿を用いたメタボローム解析を行い、野生型マウスと尿中漏出代謝物を詳細に比較し、生体内で真にSLC7A13によって輸送されている物質を明らかにした。これまでの研究成果より、SLC7A13が第二のシスチン尿症関連輸送体であることを確立し、研究を総括した。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 5件)
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