• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

加齢に伴うネフロン減少の分子病態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24591201
研究種目

基盤研究(C)

研究機関徳島大学

研究代表者

安部 秀斉  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (60399342)

研究分担者 岸 誠司  徳島大学, 大学病院, 助教 (10519507)
安部 尚子  徳島大学, 大学病院, 特任助教 (70623271)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード加齢 / 腎機能低下 / ネフロン数 / Smad1 / 細胞老化 / BMP4
研究概要

1. 糖尿病or非糖尿病条件下の腎構成細胞の継代における老化関連分子の解析
細胞が継代を重なるように老化が進行することから、腎構成細胞であるメサンギウム細胞・内皮細胞・podocyteを用い、AGEまたは高血糖刺激を行い、p16, p21, p53, Id1, Id2, RBなどの老化制御因子の発現の変化を調べた。これら分子群は、TGFβ-ALK1-Smad1とBMP4-ALK3/6-Smad1の両シグナル伝達経路によるSmad1の活性化を介して、発現量が転写レベルで調整されていた。老化促進は、senescence-associated beta-galactosidase(SA beta-Gal)染色によって評価し、両径路のうちでも、BMP4によって、特に強力に老化促進反応が進行することを認めた。これらの反応は、TGFβあるいはBMP4の中和抗体、inhibitorの投与によって減弱した。
2. 高齢マウスにおけるSmad1活性化機構解明
野生型マウス(C57BL6)を用いて、継時的に生理的な腎構成細胞の老化をin vivoで解析している。腎組織においては、加齢の進行とともに糸球体硬化がSmad1の発現と一致して進行していること、Smad1の活性化に関わる因子としては、TGFβ I型受容体のひとつであるALK1の発現量もまた、加齢とともに増加することが確認された。これらの変化とともに、尿中Smad1を継時的に測定したところ、生理的な老化に伴う糸球体硬化を反映しており、尿中バイオマーカーとして有用と考えられた。また、非増殖細胞として知られるpodocyteは、糸球体にALK1-Smad1の発現が増加したマウスにおいて脱落が認められるとともに、SA beta-Gal陽性細胞の増加も平行した変化として観察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

野生型マウス(C57BL6)では、尿の排泄量が少ないため、尿の解析がすべての個体で同時に測定することが実際に困難な場合がある。そのため、匹数を増やすとともに、尿の採取方法を蓄尿だけでなく、用手採尿も並行しておこなうこととした。それ以外では、当初予測していたよりもさらに興味深い、加齢による糸球体硬化進展の機序を明らかにすることができつつある。加齢の進行に伴い、糸球体硬化に一致するSmad1の増加の確認だけでなく、その上流分子が同定され、また、ポドサイト障害の経時的な変化を観察することができた。

今後の研究の推進方策

前年度の検討において、得られたSmad1発現調節に関わるALK1の加齢進行過程における機能をより明確にするために、強制発現やknockdownによって、Smad1のリン酸化、Sox9の発現誘導、核への転送効率、リポーターアッセイを、野生型あるいはSmad1-過剰発現マウス由来のメサンギウム細胞を用いて行い、どの段階のSmad1の活性化調節が細胞老化の決定に重要であるかを明らかにする。これがAGE非依存的な活性化調節機構であり、ヒトでのより早期のネフロン障害に寄与するものであるかどうかを、野生型マウスならびに高齢マウスの初期病変での組織内の発現変化として確認を免疫組織学的解析により行う。さらに、各細胞よりmRNAを抽出したのち、micro arrayによる解析で、現在想定している老化関連分子群以外のSmad1の発現誘導・活性化促進に関与する遺伝子を網羅的に抽出する

次年度の研究費の使用計画

ひきつづき野生型マウス(C57BL6)のさらに加齢が進行した過程での腎における変化を解析する。ネフロン数の変化とSmad1発現調節分子の関連について、in vivoでは免疫組織学的解析かつネフロン数のカウントを行い、in vitroでは、ALK1の強制発現やknockdownによって、Smad1の活性化機構を調べる。同時に、senescence-associated beta-galactosidase(SA beta-Gal)染色を施行し、細胞老化の決定機構も明らかにする。さらには、メサンギウム細胞ならびにポドサイトよりmRNAを抽出し、micro arrayによる解析で、現在想定している老化関連分子群以外のSmad1の発現誘導・活性化促進に関与する遺伝子の網羅的抽出を遂行する。次年度への繰越額11,996円は、マウスの維持費に使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Protein Inhibitor of Activated STAT, PIASy Regulates α-Smooth Muscle Actin Expression by Interacting with E12 in Mesangial Cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Torikoshi K, et al.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 7 ページ: e41186

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0041186

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Scleraxis modulates bone morphogenetic protein 4 (BMP4)-Smad1-smooth muscle α actin (SMA) signal transduction in diabetic nephropathy.2012

    • 著者名/発表者名
      Abe H, et al.
    • 雑誌名

      J Biol Chem

      巻: 287 ページ: 20430-20442

    • DOI

      10.1074/jbc.M111.275610

    • 査読あり
  • [学会発表] BMP4シグナル活性化はポドサイト障害およびメサンギウム基質増生を進展させる2012

    • 著者名/発表者名
      冨永辰也、他
    • 学会等名
      第85回日本生化学会大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県)
    • 年月日
      20121214-20121216

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi