研究課題/領域番号 |
24591202
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
長井 幸二郎 徳島大学, 大学病院, 講師 (40542048)
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研究分担者 |
松浦 元一 徳島大学, 大学病院, 助教 (10403734)
冨永 辰也 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80425446)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 慢性腎臓病 / 糸球体硬化 / メサンギウム細胞 / 細胞伝達経路 / mTOR経路 / smad1 |
研究概要 |
慢性腎臓病の糸球体硬化への過程を明らかにするため、Cre-loxPシステムを用いて、メサンギウム細胞特異的にTSC1をノックアウトし、mTOR経路の活性化による腎病変を明らかにすることを目的とした。そのため、メサンギウム細胞にCre recombinaseを発現するFoxd1-CreマウスとTSC1 floxedマウスを掛け合わせることによるメサンギウム細胞におけるTSC1ノックアウトマウスの作成した。その結果腎病変が生後4週には明らかに形成された。現在その表現型と腎機能を解析するため、生後の週齢に対してマウスの匹数をそろえて細胞増殖や肥大、糸球体硬化をKi67染色やcollagen IVの発現などで評価している段階である。また半年以内に衰弱し、死亡するため、その生命予後解析も施行中である。 さらにFoxd1-CreのCre recombinaseの発現がメサンギウム細胞以外の部位にもおこることをROSAマウスとの掛け合わせて確認したので、タモキシフェン誘導型のFoxd1-CreマウスとTSC1 floxedマウスを掛け合わせることにより、よりメサンギウム細胞特異的なTSC1ノックアウトマウスを作成している。現在掛け合わせを施行中で、タモキシフェン6mgをE10.5の時点で母体に腹腔内注射し、その子供の成長を待っているところである。 またヒト腎生検組織におけるmTOR経路の活性化をsurrogate markerであるribosomal protein S6のリン酸化の抗体で染色し、それをすでに定量化した。現在、病理組織学的な細胞増殖、硬化、線維化といった腎機能悪化への危険因子の定量をも終了、臨床的な危険因子である尿蛋白や腎機能の値を抽出中であり、最終的にはそれぞれの相関を検討予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メサンギウム細胞にCre recombinaseを発現するFoxd1-CreマウスとTSC1 floxedマウスを掛け合わせることによるメサンギウム細胞におけるTSC1ノックアウトマウスの作成し、腎病変が形成されたため、現在その表現型や機能を解析中であること、生命予後解析も施行中であり、当初の目的にそった経過をたどっている。 Foxd1-Creの発現がメサンギウム細胞以外の部位にもおこるため、さらにタモキシフェン誘導型のFoxd1-CreマウスとTSC1 floxedマウスを掛け合わせを施行することになったことは想定内であり、その対応も順調に進行している。 逆にCSK floxedマウスとの掛け合わせによる、メサンギウム細胞におけるSrc/Smad1経路の役割の解析は上記のモキシフェン誘導型のFoxd1-CreマウスとTSC1 floxedマウスの掛け合わせの結果次第によって開始となるため、予定より遅れている。 ヒトの腎生検組織の解析は当初はmTOR経路やSrc/Smad1経路の活性化の確認のみの予定であったが、mTOR経路の活性化の定量化、病理学的な腎組織の危険因子の定量化は予定以上に進行し、終了している。逆にSrc/Smad1経路の活性化の解析は、染色の特異性を確認するのに時間を要している。 以上から予定通りではないが、想定以上に進行している解析もあり、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
Foxd1-CreマウスとTSC1 floxedマウスを掛け合わせることによるメサンギウム細胞におけるTSC1ノックアウトマウスの表現型や腎機能を解析する。それと並行して細胞レベルでの機能解析のため、メサンギウム細胞を単離し、細胞増殖や肥大、細胞外基質の産生を検討する。さらにタモキシフェン誘導型のFoxd1-CreマウスとTSC1 floxedマウスを掛け合わせることによるメサンギウム細胞により特異的なTSC1ノックアウトマウスの表現型、腎機能を解析する。以上のマウスにおいて、糸球体硬化に関わる経路であるSrc/Smad1経路の発現や活性化を確認し、mTOR経路とのクロストークの有無を検討予定である。 タモキシフェン誘導型のFoxd1-Creマウスが有効に機能することが確認されれば、CSK floxedマウスとかけあわせることにより糸球体硬化に関わるSrc/Smad1経路の活性化を促し、病変の有無を確認する。 ここまでの部位特異的シングルノックアウトマウスの病変の程度によっては、TSC1 floxedマウスとCSK floxedマウスをタモキシフェン誘導型のFoxd1-Creマウスと同時に掛け合わせ、mTOR経路とSrc/Smad1経路をメサンギウム特異的に同時に活性化し、病変がどう変化するか解析することも考慮する。 ヒト腎生検検体ではmTOR経路のみならずSrc/Smad1経路の活性化も確認し、腎の予後危険因子との相関をみるとともに腎予後の経過を追っていく予定としている。
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次年度の研究費の使用計画 |
使用予定の物品をまとめて購入することにより、価格をおさえ、さらに抗体などの節約につとめ、次年度に繰り越しを得ることができた。次年度は上記の中でFoxd1-CreマウスとTSC1 floxedマウスを掛け合わせることによるメサンギウム細胞におけるTSC1ノックアウトマウスの表現型、腎機能の解析を終了することが主となる。生命予後解析も来年で完了しうると考える。加えて、糸球体硬化に関わる経路であるSrc/Smad1経路の発現や活性化を確認し、mTOR経路とのクロストークの有無を検討する。またメサンギウム細胞の単離を開始し、細胞増殖や肥大、細胞外基質の産生の程度を検討する。さらに、タモキシフェン誘導型のFoxd1-CreマウスとTSC1 floxedマウスを掛け合わせることによるメサンギウム細胞により特異的なTSC1ノックアウトマウスを増やし、週齢毎の腎病変解析、機能解析を施行していく。タモキシフェン誘導型のFoxd1-Creマウスが有効に機能することが確認されれば、CSK floxedマウスとかけあわせることにより糸球体硬化に関わるSrc/Smad1経路の活性化を促し、病変の有無を確認する。 ヒト腎生検組織におけるmTOR経路の活性化と、病理組織学的、臨床的な危険因子との相関を終了させる。Src/Smad1経路の活性化もSrcやSmad1のリン酸化抗体を使用した染色の方法を確立させることを目指す。 次年度への繰越額はタモキシフェン誘導型のFoxd1-CreマウスとTSC1 floxedマウスの掛け合わせで生じるマウス飼育費に使用予定である(F-6-1 次年度使用額 304,396分)。
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