本研究では、糖尿病性腎症における腎鉄代謝変化と鉄除去の効果について検討した。糖尿病腎症モデルdb/dbマウスを用いて正常食(ND)と鉄制限食(LID)で比較した。db/dbマウスにおける尿中微量アルブミン排泄量増加はLIDで抑制され、病理学的所見での糸球体肥大、メサンギウム領域の拡大、細胞外基質増殖もLID で軽減された。db/db マウス腎で酸化ストレス増加はLIDにて抑制された。db/db マウスでは血清鉄と尿中鉄排泄の増加がみられ、フェロポルチンとフェリチンの発現増加を認めた。以上から、糖尿病腎症では鉄代謝異常があり、鉄制限食は酸化ストレスを軽減することで糖尿病性腎症の進展を抑制できた。
|