生理的で安価な腎性貧血治療法の開発が渇望されている。そこでヒトiPS細胞を用い、エリスロポエチン産生細胞に分化させることに成功した。ヒトiPS細胞由来エリスロポエチン産生細胞は、生体と同様に低酸素に反応してエリスロポエチンを産生し、赤血球前駆細胞の分化を促進した。また腎不全マウスの腎性貧血を改善した。貧血改善効果は市販エリスロポエチン製剤に比較して高効率であった。エリスロポエチン産生細胞分化誘導法の確立は、基礎研究において詳細が明らかとなっていないエリスロポエチン発現機序の解明に有用であるとともに、臨床においてiPS細胞を用いた生理的な腎性貧血治療の可能性を示唆した。
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