研究課題
初年度の研究成果で、慢性腎不全モデルラットの腎組織において活性が亢進するセリンプロテアーゼの存在を発見し、メシル酸カモスタットがその活性を抑制することを明らかにした。次年度は、メシル酸カモスタットを用いて、このセリンプロテアーゼが慢性腎不全の病態進展に関与していることを報告した。このセリンプロテアーゼの存在は、慢性腎不全モデルラットの腎組織を粗分画し、zymographyを行うことで確認していたが、単離精製には至っていなかった。本年度は、このセリンプロテアーゼの単離精製を試みた。当初は、慢性腎不全モデルラットの腎組織からの抽出を試みたが、夾雑蛋白質のため不成功であった。そこで、同じセリンプロテアーゼの誘導が生じるアルドステロン腎障害モデル由来の腎組織を硫安分画し、イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィーを用いて精製を試みたところ、そのセリンプロテアーゼの粗精製に成功し、shotgun LC-MS/MSによってプラスミンであることが判明した。続いて、プラスミンによる腎障害の進展メカニズムについて検討した。近位尿細管培養細胞(HK-2)にプラスミンを投与すると、コラーゲンの発現誘導、および炎症性サイトカインの発現誘導が生じることが明らかとなった。プラスミンの特異的な阻害薬は未だ開発されていないため、今後はプラスミノーゲンKOマウスを用いて、5/6腎摘モデルを作成し、腎不全の病態進展に与えるプラスミンの影響を検討する予定である。
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Am J Kidney Dis.
巻: 65 ページ: 490-493
10.1053/j.ajkd.2014.09.028.
Kidney Int.
巻: 86 ページ: 845-854
10.1038/ki.2014.114.
Nat Commun.
巻: 5 ページ: 3428
10.1038/ncomms4428.
Clin Exp Nephrol.
巻: 18 ページ: 461-468
10.1007/s10157-013-0833-5.
http://yamanashi-3nai.com/