研究課題/領域番号 |
24591208
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
旭 浩一 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (60274966)
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研究分担者 |
中山 昌明 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60217940)
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キーワード | 慢性腎臓病 / 虚血 / 酸化ストレス / 臓器連関 |
研究概要 |
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の病態における慢性的な低酸素状態並びにこれに密接に関連する虚血、貧血、酸化ストレスのCKD進行のfinal common pathway、腎臓と全身諸臓器相互の病態的連関および保存期CKDのリスク管理における意義を検討している。 臨床的検討として平成24年度中に構築したCKD及びそのハイリスク患者コホートにおいて3年計画の2年目として睡眠呼吸障害のスクリーニングと各種臨床的指標の収集するとともに観察を継続した。 基礎的検討として正常SDラットにmethylglyoxal(MGO)を慢性投与して作成した尿毒症モデルの病態とレドックス制御につき検討を行い、2種の行動実験(物体探索試験および放射状迷路試験)を用いて空間認識機能を評価したが、明らかな認知機能障害を認めず、海馬ならびに大脳皮質の器質的障害も証明されなかった。一連の検討の結果、一定の条件のMGO投与下でsuperoxide dismutase、glutathione peroxidase活性などの抗酸化系が賦活化していることが明らかになり、正常SDラットではMGO毒性消去系が機能する可能性が示唆された。 また、腎虚血と遠隔臓器障害の病態とその制御について検討を行い、ラット片側腎虚血再灌流モデルにおいて対側腎、心の組織障害とHMGCoA還元酵素阻害薬による臓器保護作用が示唆され,現在その詳細な機序の病理組織学的、生化学的検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に基づき臨床研究実施に必要なコホートを確立し、横断的・縦断的解析のための臨床指標の収集を進めている。臨床における病態解析の補完のため立ち上げた複数の動物モデルによる病態解析系につき昨年度に引き続き解析を継続し、一部につき成果の発信ができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度(平成26年度)は基礎的病態解析をさらに発展させるとともに、臨床的検討に比重におき、当初計画である慢性的な低酸素状態並びにこれに密接に関連する虚血、貧血、酸化ストレス等の病態と、CKDの病態指標,診療アウトカム,心血管、腎予後などとの関連を横断的、縦断的に解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ収集に係る謝金、人件費を予定したが支出時期が当初予定より遅くなり次年度となる見込みであること、物品費が予定より若干少なく済んだこと、旅費の精算手続きが遅れたことにより,次年度使用額が生じた。 当初予定の支出の加え、次年度分の人件費,謝金は当初予定より支出の上積みが必要となる見込みであり、その他として成果発信のための論文校正、投稿のための支出も含めて、当該使用額を充当する予定である。現時点で設備備品の購入予定はない。
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