研究課題
糸球体脚細胞スリット膜は濾過の重要な装置である。これまでに、代表者らを含め多くの研究者により、その分子構築が明らかにされてきたが、スリット膜構成分子の集合体形成と再生機構については未だ不明である。本研究では、1)スリット膜分子が足細胞成熟過程でどのように集合体を作るか、2)成熟した足細胞において、濾過をしながらスリット膜がどのようにして再生されるかを明らかにする。当年度は以下のような研究成果を得た。1)昨年度の成果からスリット膜構成分子がaPKCにより細胞膜へ運ばれる機構が明らかにできたが、その運び役となる分子を明らかにする目的でモーター分子の探索を行った結果、KIF11分子が候補として見いだされた。この分子は尿細管上皮細胞のタイト結合に一致して局在しており、細胞間接着分子の運び役としての可能性が示唆された。そこで、KIF11がタイト結合に発現している培養細胞を調べた結果、MDCK細胞と代表者が確立して腎由来のクローンの一つで発現を確認した。これらの細胞を用いてタイト結合分子とKIF11の関係を解析し、KIF11がタイト結合形成に重要な役割を担っていることを示唆する結果を得た。また、足細胞の形態を維持する分子としてmyosin IIAの解析を引き続き行っており、myosin IIAと中間径フィラメントであるビメンチンとの直接の結合を免疫沈降法で解析した結果、変異myosin IIA重鎖を発現する細胞ではビメンチンとの結合が変化していることが明らかとなった。この結果はmyosin IIAの変異がなぜ足細胞の機能に影響を及ぼすかを明らかにする重要なデータである。以上の結果は本年米国細胞生物学会にて発表予定であり、論文作成中である。
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