研究課題/領域番号 |
24591216
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松本 紘一 日本大学, 医学部, 教授 (00125064)
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研究分担者 |
福田 昇 日本大学, 総合科学研究科, 教授 (40267050)
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キーワード | Fc受容体 / 自己免疫性腎炎 / マウス |
研究概要 |
自己免疫性疾患の共通した分子であるFcRγ鎖をターゲットに免疫性腎炎の治療薬として、ゲノム化学に基づき、FcRγ鎖に対する新規遺伝子制御薬ピロールイミダゾール(PI)ポリアミドを分子設計、独自に合成し、in vitroでPIポリアミドのFcRγ鎖遺伝子の発現抑制を確認した。次にin vivoで、SLEモデルマウスでの腎障害への抑制効果を検討する。これらの結果を基に、FcRγ鎖に対するPIポリアミドを免疫性腎炎の治療薬としての創薬開発につなげる。方法としてFcRγ鎖PIポリアミドの経静脈投与での薬物動態から、遺伝子治療としての投与濃度を計算する。抗基底膜抗体腎炎モデルにSyc阻害剤R406およびFcRγ鎖PIポリアミドを2週間経口または経静脈投与し、末梢血の補体、生化学マーカーを測定する。腎臓組織の炎症、線維化を評価し、腎内T細胞、マクロファージ陽性細胞を検討する。凍結切片でTGF-β1、fibronectin、collagen IV mRNA発現を評価する。マウスFcRγ鎖PIポリアミドの腎炎への効果が認められたら、ヒトFcRγ鎖プロモーターに対するPIポリアミドを設計合成する。ヒトFcRγ鎖プロモターをpGL3-basicプラスミドを293細胞に導入、ルシフェラーゼ活性を指標にヒトFcRγ鎖に対するPIポリアミドのプロモーター活性抑制を確認し、ヒトFcRγ鎖に対するPIポリアミドの構造を特許化する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Fc受容体に対するPIポリアミドのリード化合物の決定のため、in vitroで腎メサンジウムを用いての計画であったが、PIポリアミドの効果を明確に認証はしていない。また自己免疫性腎炎モデルをループス腎炎を起こすNewZeland B&W F1 Hybridマウスに変更した。しかしSLEモデルマウスであるNewZeland B&W F1 Hybridマウスでの蛋白尿の発症、腎障害の確実な発症までに4ヶ月の時間がかかり実験が遅れた。PIポリアミドの効果を観るあいだ、Fc受容体のシグナルであるSyk阻害剤R406のNewZeland B&W F1 Hybridマウスの蛋白尿、腎障害に対する作用を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度以降はFcRγ鎖に対するPIポリアミドのリードを決定する。投与前に尾静脈から100 μlを採血しBUNの測定し、腎機能を評価する。投与前、に24時間代謝ゲージで畜尿し、尿中蛋白、NAG scoreの測定に供する。2週間目に頸動脈採血を行い、補体C3、C4、CRP、BUNを測定する。腎臓を摘出し、重量を測定、組織学的にHE、MT、VE染色にて組織の炎症、線維化を評価する。腎内O19, O38, ED1, ED3陽性細胞をカウントする。 ループス腎炎に対するFcRγ鎖に対するPIポリアミドの経静脈投与での腎皮質でのTGF-β1、細胞外マトリックスmRNA発現への作用として、摘出した腎臓、大動脈の半分は凍結切片切片とし、腎皮質でのTGF-β1、細胞外マトリックスmRNA発現をreal time PCRで定量する。ISOGENにてtotal RNAを抽出し、TGF-β1、fibronectin、collagen IVのプライマーを用いてreal time PCRを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末に旅費として使用予定があり、ある程度の金額を確保しておいたが、実際に使用した額が予定額を下回ったため。 補体C3、C4、CRP、BUNの測定料として使用。また腎皮質、腎臓、大動脈でのTGF-β1、fibronectin、ollagen IVなどの定量をreal time PCR で行うため、その動物代、動物飼育料金及び試薬代として使用予定。
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