自己免疫性疾患の共通した分子であるFcRγ鎖をターゲットに免疫性腎炎の治療薬として、ゲノム化学に基づき、FcRγ鎖に対する新規遺伝子制御薬ピロールイミダゾール(PI)ポリアミドを分子設計し、日本大学でペプチド合成機を用い独自に合成し、in vitroでPIポリアミドのFcRγ鎖遺伝子の発現抑制を確認した。次にin vivoで、SLEモデルマウスでのループス腎炎による腎障害への抑制効果を、尿蛋白、腎機能、さらに組織学的にHE染色とマッソントリクローム染色で確認した。これらの結果を基に、FcRγ鎖に対するPIポリアミドを免疫性腎炎の治療薬としての創薬開発につなげるため、FcRγ鎖PIポリアミドの経静脈投与での薬物動態から、遺伝子治療としての投与濃度を計算し、薬容量を概算した。さらに抗基底膜抗体腎炎モデルにSyc阻害剤R406およびFcRγ鎖PIポリアミドを2週間経口または経静脈投与し、末梢血の補体、生化学マーカーを測定した。腎臓組織の炎症、線維化を評価し、腎内T細胞、マクロファージ陽性細胞を検討し、凍結切片でTGF-β1、fibronectin、collagen IV mRNA発現抑制を認めた。マウスFcRγ鎖PIポリアミドの腎炎への効果が認め、ヒトFcRγ鎖プロモーターに対し、複数のPIポリアミドを設計し合成した。ヒトFcRγ鎖プロモターをpGL3-basicプラスミドを293細胞に導入、ルシフェラーゼ活性を指標にヒトFcRγ鎖に対するPIポリアミドのプロモーター活性抑制を確認した。
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