研究課題/領域番号 |
24591217
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
清水 章 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00256942)
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研究分担者 |
永坂 真也 日本医科大学, 医学部, 助教 (00573239)
益田 幸成 日本医科大学, 医学部, 講師 (70173755)
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キーワード | 壊死性半月体形成性腎炎 / 抗好中球細胞質抗体 / ANCA / 壊死性糸球体腎炎 / 半月体形成性糸球体腎炎 / ANCA関連血管炎 / ANCA関連腎炎 / 抗糸球体基底膜抗体病 |
研究概要 |
本研究の目的は安定したヒトANCA関連腎炎に類似したラットモデルを用いて、ANCA関連腎炎の発症進展に関わる免疫学的機序を明らかにすることです。 初めに、安定して高頻度に半月体形成性腎炎を発症するANCA関連血管ラットモデルの作成を進めています。昨年度は、WKYラットにhuman MPO (hMPO: 400μg/kg body wt)を免疫する原法に、高容量のhMPO免疫群 (800, 1600, 3200μg/kg)、boostの追加群を行い、十分で安定した血中ANCA値を得るためには1600μg/kgのhMPOの一回免疫が適していることを明らかにした。しかし、壊死性半月体形成性腎炎の形成頻度は数%程度に留まり、確実なモデルの作成には更なる工夫が必要であった。そこで、今年度は、hMPOを1600μg/kg、一回免疫するモデルに、さらにTNF-αやG-CFSを投与した好中球活性化誘導群と、少量のanti-GBM抗体やanti-Thy-1抗体を投与した内皮細胞障害誘導群を作成し腎炎の増悪を試みた。結果として、それぞれ、1600μg/kgのhMPOの一回免疫群、好中球活性化誘導群、内皮細胞障害誘導群の間には血清ANCA値に差は認められなかったものの、内皮細胞障害群、特に少量のanti-GBM抗体投与群において有意な尿所見の増悪および壊死性半月体病変の形成率の有意な上昇を認めた。ANCA関連腎炎の壊死性半月体病変の形成にはANCA抗体の存在に加えて、糸球体内皮細胞障害もしくは活性化が重要であることを明らかにした。ANCA関連血管炎の発症には、ANCAの存在に加えて、糸球体内皮細胞の要因も強く関与していることを明らかにした。 これらの成果は、American Sosiety of Nephrology, Kidney Week 2013、第102回日本病理学会総会や第56回日本腎臓学会学術総会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は安定したヒトANCA関連腎炎に類似したラットモデルを用いて、ANCA関連腎炎の発症進展に関わる免疫学的機序を明らかにすることです。 今年度は、安定したANCA関連血管炎ラットモデルの作成を進めた。昨年度に決定した、効率よく十分なANCA産生の条件であるhMPOの1600μg/kg一回免疫に加えて、今年度は、高度な壊死性半月体形成性糸球体腎炎の作成のための工夫を行った。昨年度までの数%の頻度であった壊死性半月体形成性病変の頻度は、今年度の内皮細胞障害誘導群、特に壊死性半月体形成性腎炎を発症しない程度の少量の anti-GBM抗体の投与で、高率な壊死性半月体形成性病変の発症を誘導することができるようになった。この安定したANCA関連血管炎モデルを作成したことで、今後のANCA関連血管炎の発症、進展機序の解明、糸球体局所における免疫反応や微小環境の解析を行うことが可能になった。 今年度は、確実で安定したANCA関連血管炎モデルの作成に成功し、今後の研究が大きく展開できる成果を上げているので、おおむね順調に進呈していと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は安定したヒトANCA関連腎炎に類似したラットモデルを用いて、ANCA関連腎炎の発症進展に関わる免疫学的機序を明らかにすることです。高率に壊死性、半月体形成性病変を発症するANCA関連血管炎ラットモデルを用いて、ANCA関連血管炎の発症、進展機構について研究を進める。 1) hMPO 1600μg/kgの一回免疫によりANCAの誘導を行い、さらに少量のanti-GBM抗体を追加する方法で、それぞれの条件をふって、最も高率の良いhMPO-AMCA+少量anti GBM Abモデルを確立する。2) hMPO-AMCA+少量anti GBM Abモデルと通常のanti-GBM GNとを比較検討して、ANCA関連血管炎の腎炎発症機序や進展機構の特徴や特異性を明らかにする。3) ANCA関連血管炎の発症への好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps: NETs) の関わりを検討する。4) ANCA関連血管炎の発症・進展の糸球体内のサイトカインやケモカインを含めた微小環境を明らかにする。5) hMPO-AMCA+少量anti GBM Abモデルを用いて、壊死性、半月体形成性糸球体腎炎の発症に関わる液性免疫や、細胞性免疫の重要性を、炎症細胞の種類と活性化から検討する。6) in vitroで、好中球やマクロファージの活性化とANCAの関連を検討し、ANCA関連血管炎への細胞性免疫の重要性をin vitroで確認する。そして、7) 得られた成果を論文の作成を含め広く発表する。 今年度が本研究課題の最終年度であるので、in vivo および in vitroの解析を含め、ANCA関連血管炎の発症、進展機構につながる成果をあげるよう研究を進める。
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