研究概要 |
2型糖尿病腎症の発症・進展に対する高度たんぱく質制限の腎保護効果を検証するため、Wistar fatty (fa/fa)ラット(6週齢雄)と対照ラットを通常食(CD; たんぱく質22%、脂質5.4%、炭水化物66.5%)群とたんぱく質制限食(LPD; たんぱく質5%、脂質10%、炭水化物76.2%)群に分別し、体重・摂食量・血糖値(空腹)・血圧を4週間ごとに測定し、28週後にHbA1C値・IRI・インスリン耐容能試験(ITT)・総コレステロール(CHO)・中性脂肪(TG)・尿アルブミン排泄量(UALB)・腎重量・腎組織を評価した。糖尿病ラットの両群間で摂食量に差はなかったが、CD群と比較してLPD群で、体重(CD:LPD 745.3±26.6:573.7±52.5g, n=3, p<0.01)および腎重量(CD:LPD 3.55±0.57:1.89±0.03g, n=3, p<0.05)の有意な減少、血糖値(CD:LPD 97.3±15.1:71.3±11.1mg/dl, n=3, p<0.05)・HbA1C値(CD:LPD 4.72±0.62:3.52±0.06%, n=3, p<0.05)・IRI値(CD:LPD 6.70±0.58:3.34±0.89ng/ml, n=3, p<0.01)の有意な低下、またITT(area の改善を認めた。CHO値は、CD群と比較して、LPD群で有意な低下を認めたが、TG値は両群間で差はなかった。さらにLPD群は、CD群と比較してUALBの有意な低下(CD:LPD 1206±482.6:145.42±48.47 mg/gCr, n=3, p<0.001)と腎組織の改善を認めた。なお、血圧に差はなかった。以上より、高度たんぱく質制限は、2型糖尿病ラットにおける糖・脂質代謝の改善と腎保護効果を示すことを見出した。
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