研究課題
IgG4関連腎臓病(IgG4 related kidney disease; IgG4RKD)は、2001年Hamanoの自己免疫膵炎の報告をきっかけとして、Saekiらによりその存在が明らかとなった腎臓疾患である。特異的な硬化性線維化を来すことが特徴的な間質性腎炎である。我々は、IgG4RKD生検腎組織を用いて、病変部に浸潤は、Th2とTregが中心的に働いている病態であることが明らかとなった。この反応は、慢性の寄生虫感染症における宿主の免疫反応と同様であり、Th2が活性化した病態であるアレルギー性疾患の発症を抑える反応であることが明らかにされている。我々は、腎臓生検組織ではなく、ヒト剖検症例の腎臓を用いて詳細な検討を行ってみると、この細胞浸潤から線維化病変は、動脈血管に沿ってその周辺に存在し、動脈周囲炎の形態を呈していることに気がついてきた。IgG4RKDの病変を血管炎の病態と捉えて病態解明に向かう必要があると考え、血管炎モデルのMRL/lprマウスを用いて本研究を進めた。36週齢マンソン吸虫感染MRL/lpr マウスと非感染マウスとの比較検討を行うと、非感染MRL/lprマウスでは、タマネギ状の閉塞性動脈炎を来たし、IgG4-RKDに特徴的な線維化は認められないばかりではなく、IgG4-RKDでは認められない所見であるフィブリノイド壊死が多くに認められた。一方、マンソン吸虫感染MRL/lpr マウスでは、動脈周囲に著明な細胞浸潤と線維化を認めるが、血管内腔には細胞の増殖はなく、閉塞所見は認められなかった。線維化した部分は、花筵状の形態をとり、まさにIgG4-RKDに特徴的な所見を呈していた。免疫状態をTh2+Tregへシフトさせることで、血管炎モデルのMRL/lprマウスが表出する血管炎組織が大きく異なることが示された。
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