研究実績の概要 |
本研究では、まずヒト低出生体重関連腎症と類似の腎病変を有するラットモデルの作成に成功した。本モデルを用いて、我々は低出生体重個体においては腎症発症前から腎臓においてはミトコンドリア機能が低下していることを明らかにした(論文作成中)。また特に糸球体上皮細胞においてはミトコンドリアネットワークが発達し、それは足突起の末梢にまで存在することを示した(Imasawa T et al. Int J Biochem Cell Biol. 2013)。 更に、ヒト糸球体上皮細胞を用いた基礎研究を展開した。上皮細胞の分化に伴ってミトコンドリアの酸化的リン酸化システムが発達していく過程をプロテオーム解析にて明らかにするとともに、バイオインフォマティクス等を用いその上流の制御因子について検討を行った。現在、PGC-1αを介した分化促進が起きていることが明らかとなった。また高血糖下で糸球体上皮細胞のエネルギー代謝がどのように変化するかについても検討した。その結果、分化段階と逆方向、すなわち解糖系に依存するエネルギー産生システムにシフトすることもプロテオーム解析やRNA array解析を中心とした解析で明らかにした(論文投稿中)。 本年度は、これまで行ってきた研究結果は主として網羅的な解析から得られた結果であたったため、実際に高血糖下におかれたヒト糸球体上皮細胞において実際に酸化的リン酸化経路に各複合体の活性が低下しているのかをspectrophotometric assayにて検討した。その結果、complex I, II, III, IVの活性が結いに低下している結果が得られこれまでのプロテオーム解析で得られた結果を裏付ける証拠を得た。またshRNAを用い、糸球体上皮細胞の分化段階においてMEFの阻害実験を行っており、現段階では追試が必要な段階であり、今後更なる検討を加えていく予定である。
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