研究課題/領域番号 |
24591224
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
平山 暁 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (20323298)
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研究分担者 |
吉冨 徹 筑波大学, 数理物質科学研究科(系), 研究員 (20585799)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 腹膜透析 / ナノ粒子 / 酸化ストレス |
研究概要 |
本研究はDDS(Drug Delivering System)技術の応用により、機能性ナノ粒子含有腹膜透析液を開発し、生体適合性を高め、長期腹膜透析を可能とすることを目的とする。申請者らが近年開発してきた酸化ストレス部位特異的に抗酸化作用を発揮するナノ粒子を基に、活性酸素消去による腹膜保護と老廃物吸着能を有するナノ材料を設計し、安全でQOLの高い腹膜透析を可能にし、長期にわたる腎代替療法に利用できるシステムを構築するものである。 本研究では,まず薬理効果の高いニトロキシルドジカル・誘導体を選定し,次いでこの化合物のナノ粒子を合成する.その後,動物実験により生体内安定性・安全性の確認をするとともに,腹膜炎モデルにおいて腹膜保護機能効果を検討し,最終的に腎不全モデルにおける効果を評価する.平成24年度においては,上記計画のうち,ニトロキシドラジカルの選定・ナノ粒子の合成,動物実験における基礎的動態の確認及び,一部腹膜炎モデルの評価も施行した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は以下の各ステップからなる.1. 薬理効果の高いニトロキシルラジカル・誘導体の選定,2. この化合物のナノ粒子合成,3. 動物実験による生体内安定性・安全性の確認,4. 腹膜炎モデルにおける腹膜保護機能効果検討,5. 腎不全モデルにおける生体内安定性および腹膜保護機能効果検討.1 では使用されるニトロキシドラジカル誘導体に関し,薬理効果が高く,かつ合成可能なものを決定し,2 においてはその合成プロセスを確認する.3 ではin vivo/ex vivo での安定性を評価し,またLD50測定など安全性の検討を行う.4においては腹膜炎モデルを用い,ナノ粒子腹膜保護機能をESR 法や組織学的手法により評価する.5においては実際の腎不全動物における動態と腹膜保護効果を評価する. 平成24年度においては,当初計画通り上記ステップ1-3までを遂行し,また同時並行的なパイロットスタディとしてステップ4の検討も行った(このステップは当初平成25年度以降予定). ニトロキシルラジカル・誘導体は,当初予定通り6員環(TEMPO)を使用することにより,効果が得られることを確認した.このナノ粒子の合成については,我々が既に確立したニトロキシドラジカル含有ナノ粒子(RNP)の疎水性コア中でゾルーゲル法によりシリカ粒子を形成せしめた(SiRNP)粒子を合成した。これらをマウスに投与し,基礎的な導体及び安全性の検討を行った.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に基づき,引き続き上記ステップ3の検討を行うとともに,既に一部施行しているステップ4およびステップ5へ研究を進める.具体的には,ステップ3として尿毒症性物質や生理活性物質等のナノ粒子への吸着試験をモデル実験系で行い、in vitro、in vivo用の評価のデータを収集する。 ステップ4として腹膜炎モデルにおける腹膜保護効果・抗酸化ストレス効果の評価 を行う.腹膜炎モデル動物の作製は既報に従い,クロルヘキシジン投与によりラットを用いて作製する。RNP-pH, RNP-nonpHの両ナノ粒子とともに4-hydroxy-TEMPOやamino-TEMPOなどの非粒子化低分子TEMPO誘導体をPD液中に含有させ投与する.またGSHなど既知の抗酸化剤をコントロールとして用いる.腹膜機能評価は透析液投与4時間後に透析液及び血液を回収し、クレアチニン濃度比にて評価を行う。蛍光プローブを用い、スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカルの発生量の定量を行う。また、過酸化脂質、プロテインカルボニル、8OHdGの定量を行うとともに、TGF、 VEGFやAng IIの発現を評価する。腹膜は被嚢化を評価するとともにH&E染色により組織の評価を行う。 その後,ステップ5として腎不全モデルにおける生体内安定性および腹膜保護効果・抗酸化ストレス効果の評価 を行う.既報のモデルを参考に(H Nohら、Kidney Int (2006) 2022–他)腎不全モデルにおける生体内動態を検討する.上記4と同様の方法で評価を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度研究費は研究代表者と研究分担者において使用する.消耗品代と旅費に充てられる予定である.消耗品価格等の改訂等により次年度使用金が発生している.これらは消耗品として試薬類(スピンプローブ剤,スピントラップ剤他),実験動物(ラット),実験器具(合成用ガラス器具・ESR用測定セル他)等への使用を予定している.また,これまでの研究実績について,国際学会での成果発表を予定している.
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