研究課題/領域番号 |
24591224
|
研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
平山 暁 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (20323298)
|
研究分担者 |
吉冨 徹 筑波大学, 数理物質科学研究科(系), 研究員 (20585799)
長崎 幸夫 筑波大学, 数理物質科学研究科(系), 教授 (90198309)
|
キーワード | 腹膜透析 / ナノ粒子 / 硬化性被嚢性腹膜炎 / 酸化ストレス |
研究概要 |
本研究はDDS(Drug Delivering System)技術の応用により、機能性ナノ粒子含有腹膜透析液を開発し、生体適合性を高め、長期腹膜透析を可能とすることを目的とする。申請者らが近年開発してきた酸化ストレス部位特異的に抗酸化作用を発揮するナノ粒子を基に、活性酸素消去による腹膜保護と老廃物吸着能を有するナノ材料を設計し、安全でQOLの高い腹膜透析を可能にし、長期にわたる腎代替療法に利用できるシステムを構築するものである。 本研究では,まず薬理効果の高いニトロキシルドジカル・誘導体を選定し,次いでこの化合物のナノ粒子を合成する。その後,動物実験により生体内安定性・安全性の確認するとともに,腹膜炎モデルにおいて腹膜保護機能効果を検討し,最終的に腎不全モデルにおける効果を評価する。平成25年度においては,上記計画のうち,腹膜炎モデルにおける評価を中心に施行した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は以下の各ステップからなる。1薬理効果の高いニトロキシルラジカル・誘導体の選定,2この化合物のナノ粒子合成,3 動物実験による生体内安定性・安全性の確認,4 腹膜炎モデルにおける腹膜保護機能効果検討,5腎不全モデルにおける生体内安定性および腹膜保護機能効果検討。平成24年度においては,当初計画通り上記ステップ1-3までを遂行している。平成25年度は, 4においては腹膜炎モデルを用い,ナノ粒子腹膜保護機能をESR 法や組織学的手法により評価することを中心に行い,また一部ステップ5において実際の腎不全動物における動態と腹膜保護効果を評価した。 ナノ粒子は,我々が既に確立したニトロキシドラジカル含有ナノ粒子(RNP)の疎水性コア中でゾルーゲル法によりシリカ粒子を形成せしめた(SiRNP)粒子を合成した。これらをクロルヘキシジンにより惹起された被嚢性腹膜硬化症モデルマウスに腹膜透析液とともに腹腔内投与し,腹膜保護効果の検討を行った。SiRNP投与群では腹膜中皮細胞の脱落予防など腹膜保護効果が認められた。
|
今後の研究の推進方策 |
当初計画に基づき,これまでの結果を基に,腎不全モデルにおける検討を中心に進める。腎不全モデルでは,SiRNPを含有させた腹膜透析液を使用し,血清クレアチニンやBUNなど腎不全指標に対する検討を行う。電子スピン共鳴法(ESR)を用い,本粒子の体内動態,形状変化の追跡を行う。これらはこれまでに開発されたRNP-pH, RNP-nonpHの両ナノ粒子とともに4-hydroxy-TEMPOやamino-TEMPOなどの非粒子化低分子TEMPO誘導体と効果比較を行う。スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカルの発生量の定量を行う。また、過酸化脂質、プロテインカルボニル、8OHdGの定量を行うとともに、TGF、 VEGFやAng IIの発現を評価する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
主として使用した物品費の一部(スピントラップ剤)が当初予定より安価に供給されるようになったことによる. 次年度使用額分は,円安の進行により輸入品・旅費の高騰が予想されるため主として物品費および旅費の補充に充てる.使用計画に変更はない.
|