研究課題/領域番号 |
24591226
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤田 恵 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50447405)
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キーワード | 高血圧 / メタボリックシンドローム / 交感神経活動 / ミネラロコルチコイド受容体 / 酸化ストレス |
研究概要 |
「先天的メタボリックシンドロームラットにおける脳内アルドステロン・ミネラロコルチコイド受容体(MR)の役割についての検討」我々は以前、食塩感受性および肥満高血圧において、脳内酸化ストレスを介した中枢性交感神経活動亢進が重要である可能性、心・腎におけるミネラロコルチコイド受容体(MR)活性化が酸化ストレスを介し臓器障害に関与している可能性を報告した。メタボリックシンドロームでは、その病態にMR活性亢進や交感神経活動亢進が関与していることが推測されているが、脳内における詳細機序は不明である。脳内MRが酸化ストレスを介した中枢性交感神経活動亢進に関与している可能性を、Dahl-食塩感受性ラット(DS)とZucker肥満ラットをかけ合わせて作成したメタボリックシンドロームラットDahl-S.Z-Lepr(fa)/Lepr(fa)(DF)を用い検討した。【方法】DFの脳内におけるMR活性を評価するため、摘出した脳視床下部におけるSgk-1のmRNA発現をリアルタイムRT-PCR法にて検討した。DFの脳室内にMR拮抗薬エプレレノン、もしくはアルドステロン合成阻害薬(FAD286)を慢性投与し、交感神経活動、血圧への影響を、人工脳脊髄液投与(vehicle)群と比較検討した。さらに視床下部における酸化ストレス量をルシジェニン化学蛍光発光法により測定した。【成績】DFの視床下部におけるSgk-1のmRNA発現量はDSに比較し有意に亢進していた。DFの脳室内へのエプレレノンおよびFAD286の慢性投与は、vehicle群に比し血圧、交感神経活動を有意に抑制した。さらに、FAD286の脳室内投与による視床下部酸化ストレス産生量の有意な低下も確認できた。【結論】メタボリックシンドローム関連高血圧において、脳内MR活性化は酸化ストレスを介した中枢性交感神経亢進に関与している可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先天的メタボリックシンドロームラットにおける、脳内アルドステロン、ミネラロコルチコイド受容体の役割について、脳内酸化ストレスを介した中枢性交感神経活動亢進を引き起こしている可能性を、生理実験、生化学実験の結果から、明確に示すことができ、その結果の一部を日本高血圧学会、国際アルドステロンシンポジウム等で報告することができた。
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今後の研究の推進方策 |
脳内アルドステロン濃度、コルチコステロン濃度のRIA法による測定を現在進行中である。さらに、アルドステロン合成酵素であるCYP11B2、コルチコステロン合成酵素であるCYP11B1の発現量の検討も、real-time RTPCR法により検討中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度後半、研究代表者の病気休暇のため研究の中断を余儀なくされ、予定していた研究費を使いきれず、翌年度に繰り越す必要があった。 脳内アルドステロン濃度、コルチコステロン濃度のRIA法による測定、アルドステロン合成酵素であるCYP11B2、コルチコステロン合成酵素であるCYP11B1の発現量の検討を引き続き行っていく。動物購入・飼育やサンプル処理およびRIA法によるアルドステロン・コルチコステロン濃度測定、Real-time RTPCR施行にコストがかかる見込みであり研究費使用予定である。
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