研究課題
1. 腹膜透析(PD)患者のPD排液から作成した中皮細胞初代培養細胞を用いて、PDが中皮細胞上の補体制御因子(CReg)の発現を介して、腹腔内の補体系に影響を与えているかどうか、最終的にn=31で評価を行うためFACSによる解析を進めた。結果は、腹膜中皮細胞上のCRegの中で、CD55の発現が、腹膜機能を示すD/Pクレアチニン値と逆相関にあることがわかった。また、中皮細胞上のCD55の発現は、PD排液中のC3、sC5b-9値とは相関したが、C4値とは相関しなかった。このことよりCD55の発現の低下が補体の第二経路での補体活性化を助長している可能性が示唆され、補体活性化産物が腹膜透過性の更新に関わっている可能性が示唆された。実際にCD55の発現の異なった症例をの腹膜中皮初代培養細胞を用いて、補体活性化試験を行ったところ、CD55の発現の低かった症例で中皮細胞上での補体活性化はより起こりやすいことが示唆された。このCD55の変化が腹膜という局所環境に限定したものであったかどうかについての検討のため、同じPD患者の白血球上でのCRegと腹膜中皮細胞上でのCRegの発現について調べたところ、有意な相関は求められず、今回の腹膜中皮細胞のCD55の変化は腹膜独自の反応である可能性が示唆された。以上の結果をまとめて論文化を行い、Molecular Immunologyに投稿し、H27年3月時点で既にin pressとなっている。2.現在、腹膜炎に伴うPD排液中の補体活性化産物の測定により、腹膜炎の予後をある程度予想できそうであることを見出した(2014年International complement workshopで発表)。今後も、症例数を増やし、予後に加えその後の腹膜への傷害に補体活性系の関与を明らかにするために研究を継続している。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件)
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