研究課題/領域番号 |
24591228
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 恭彦 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60402632)
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研究分担者 |
水野 正司 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20303638)
鈴木 康弘 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (20584676)
松尾 清一 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70190410)
武井 佳史 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70362233)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 腹膜透析 / リンパ管 / VEGF-C / 腹膜透過性 / 腎間質障害 |
研究概要 |
腎疾患におけるリンパ管新生の意義に関して新たな知見を得、論文化した(Kidney Int. 2012;81(9):865-79)。ラット尿管結さつ(UUO)モデルを用い、腎線維化とともにVEGF-C分泌が進み、リンパ管新生が進行することを証明。近位尿細管細胞、集合管細胞においてTGF-bがVEGF-Cを誘導することを確認。UUOモデルにおいて、TGF-b受容体抑制剤を腎動脈から投与し、VEGF-Cの発現が抑制され、これによってリンパ管新生を抑えるメカニズムをin vitro, in vivo実験で証明し、論文とした。現在、transgenic miceを作成し、リンパ管新生が腎疾患進行に与える影響につき検討を進めている。また、TGF-bとVEGF-Cを結ぶシグナル伝達を検討・解明中である。腹膜におけるリンパ管新生の意義に関する研究では、ヒト腹膜機能不全(除水不全)においてリンパ管新生が進んでいることを組織における免疫組織染色、real-time PCRで確認した。また、ヒト腹膜透析排液においてもVEGF-Cを検出し腹膜透過性と良好な相関も確認した。ヒト腹膜透析排液由来腹膜中皮細胞においてTGF-b1刺激によるVEGF-C増加はD/P Crと相関を認めた。腹膜炎からの腹膜線維化動物モデル(において、リンパ管新生が進むことを見出した。この新生リンパ管は実際機能しており、腹腔内へ注入した液がリンパ管から吸収・ドレナージされることを示し、リンパ管新生が腹膜透析患者の除水不全に深く関与することを証明した。さらにin vitro, in vivoにおいて線維化の中心的な成長因子であるTGF-bとリンパ管新生との関連を示し、腹膜線維化のプロセスとともにリンパ管新生が進むことも証明した。現在論文投稿中。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の計画は、下記(1)-(3)であったので、各項目について報告する。 (1) 腹膜機能障害におけるリンパ管新生について:腹膜線維化とともにTGF-b-VEGF-C pathwayを介しリンパ管新生が進行することが明らかとなった。線維化にともなったリンパ管新生が、PDにおける透析液吸収を介しUFFに深く関与することが明らかとなり、新たな治療ターゲットとなりうることを示し、現在、投稿中である。 (2) VEGF-C transgenic miceについて:当初、Fibroblast Specific Protein 1 (FSP1)をプロモーターとした、線維化に伴いVEGF-Cが過剰発現するTgマウスを作製する計画で、実施したが、VEGF-C mRNAは上昇したが、VEGF-C蛋白の分泌が見られないことが判明し、collagen I プロモーターにVEGF-Cをつないだベクターの構築が完了し、Hec293細胞にトランスフェクションし、VEGF-C 蛋白の過剰分泌確認を完了した。現在、リンパ管内皮細胞を用い、Hec293細胞にトランスフェクションし産生されたVEGF-C 蛋白が、生理学的活性をもっていることを検討中である。この終了後に、マウス作成にとりかかる。予定としては、今年秋までにtransgenic miceができる予定である。 (3) 慢性腎臓病における意義について:近位尿細管細胞において、TGF-bがVEGF-Cを誘導することを報告してきた。このシグナル伝達を解明中である。この中でinhibitor、蛋白DNAアレイを実施し、transcription factorを同定する作業にはいっている。
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今後の研究の推進方策 |
現在計画した3つの柱となる研究を進めている。 (1) 腹膜機能障害におけるリンパ管新生について、(2) VEGF-C transgenic miceについて 、(3) 慢性腎臓病におけるリンパ管新生の意義について、すべて、順調に進んでいるので、計画通りに今後も進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
「該当なし」
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