研究課題/領域番号 |
24591228
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 恭彦 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座教授 (60402632)
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研究分担者 |
水野 正司 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (20303638)
鈴木 康弘 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (20584676)
松尾 清一 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70190410)
武井 佳史 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70362233)
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キーワード | 腹膜透析 / リンパ管 / VEGF-C / 腹膜透過性 / 腎間質障害 |
研究概要 |
1. 腹膜機能障害におけるリンパ管新生について クロルヘキシジン(CG)モデル腹膜において検討し、リンパ管の発現はTGF-b typeI受容体阻害剤による線維化抑制治療により軽減し、線維化に伴いリンパ管新生が進行することを明らかにした。腹腔内投与したFITC-dextranの吸収、体循環へのドレナージはリンパ管新生によって増加し、COX2阻害剤投与によるリンパ管新生抑制により減少した。線維化にともなったリンパ管新生が、PDにおける透析液吸収を介しUFFに深く関与することが明らかとなり、新たな治療ターゲットとなりうることを示し、J Am Soc Nephrol に発表した。リンパ管新生が普遍的におきるかを、別のメチルグリオキサールモデルを用いて検討、アデノウィルスベクター s-VEGFR3-Ig(ヘルシンキ大学K Alitaro教授より供与)投与によるリンパ管新生の抑制を行い、その意義を検討。さらに人に応用可能な腹膜透析リンパ管機能をみる検査法を検討した。VEGF-CとともにVEGF-Dも腹膜リンパ管新生に重要な働きをしていることを明らかにし、その成果を本年の日本腎臓学会で発表予定、論文作成中である。 2. VEGF-C transgenic (tg) miceについて collagen I プロモーターにhuman VEGF-Cをつないだベクターの構築し、Hec293細胞にトランスフェクションし、VEGF-C 蛋白の過剰分泌を確認。分泌されたVEGF-C 蛋白がリンパ管内皮細胞を増殖・管腔形成を誘導することをin vitroの系で検討し、生理学的活性をもつことを確認した。このベクターを受精卵に注入し、tgマウスを作成。現在、germ-line伝達を確立中である。本tg miceを用いて、腹膜擦過モデルと尿管閉塞(UUO)モデル等でリンパ管新生の意義を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 腹膜機能障害におけるリンパ管新生について クロルヘキシジン(CG)モデル腹膜において検討し、線維化にともなったリンパ管新生が、PDにおける透析液吸収を介し除水不全(濾過不全)に深く関与することが明らかとなり、新たな治療ターゲットとなりうることを示し、J Am Soc Nephrol 2013に発表した。リンパ管新生が普遍的におきるかを、別のメチルグリオキサールモデルを用いて検討、その意義を検討した。さらにアデノウィルスベクター s-VEGFR3-Ig(ヘルシンキ大学K Alitaro教授より供与)投与によるリンパ管新生の抑制を行い、VEGFR3が新たな腹膜透析除水不全の治療ターゲットになる点を明らかにし、その成果を本年7月の日本腎臓学会で発表予定、近日中に論文投稿となる。 (2) VEGF-C transgenic (tg) miceについて collagen I プロモーターにhuman VEGF-Cをつないだベクターの構築し、Hec293細胞にトランスフェクションし、VEGF-C 蛋白の過剰分泌確認を完了。分泌されたVEGF-C 蛋白がリンパ管内皮細胞を増殖・管腔形成を誘導することをin vitroの系で検討し、生理学的活性をもつことを確認した。このベクターを受精卵に注入し、tgマウスを作成。現在、germ-line伝達を確立中である。その中で、すでに2ラインでgerm-line伝達を確立。予定通りtgマウス作成に成功しており、本マウスを用いて、腹膜擦過モデルと尿管閉塞(UUO)モデル等でリンパ管新生の意義検討を5月より開始する。
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今後の研究の推進方策 |
現在計画した3つの柱となる研究を進めている。 (1) 腹膜機能障害におけるリンパ管新生について (2) VEGF-C transgenic mice作成について (3) 慢性腎臓病におけるリンパ管新生の意義について (1)においては、メチルグリオキサールモデルとともに保存期腎不全モデルにおいての腹壁リンパ管新生の検討を進めている。 (2)のVEGF-C transgenic miceが作成できたので、本年度はtg miceにモデルを作成し(1)腹膜疾患、(3)腎疾患における病態解明、治療戦略の開発を進める。これまですべて、順調に進んでいるので、計画通りに今後も推進する。
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