研究課題/領域番号 |
24591230
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
矢野 彰三 島根大学, 医学部, 准教授 (80403450)
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キーワード | 尿毒素 / 蛋白エネルギー消費 / インスリン抵抗性 / 腎不全 |
研究概要 |
本研究の目的は、既知の尿毒素物質が脂肪および骨格筋(前駆)細胞に及ぼす影響を、増殖、アポトーシス、分化・成熟、インスリン感受性について検討することであった。 マウス脂肪前駆細胞3T3-L1を培養し、尿毒素としてフェニル酢酸(PAA)・インドキシル硫酸(IS)・pクレゾール(PC)・pクレゾール硫酸(PCS)などを添加し、細胞のviabilityを確認した。次に、細胞増殖能を細胞数・Brd-U incorporationで、アポトーシスをトリパンブルー染色・DNA fragmentationによって評価した。細胞の成熟については、Oil Red染色による脂肪蓄積を評価し、分化や細胞形質を示す遺伝子について定量的real time RT-PCR法で、PPARγmRNAレベルの発現を検討した。また、インスリン感受性に対する各尿毒素物質の影響を検討するため、glucoseの取り込みについてRI(3H-Labeled 2-DOG)を用いたトレーサー実験を行った。 われわれは、PCが100μM以上の濃度で3T3-L1細胞の増殖、分化を抑制し、成熟脂肪細胞数が減少すること、一方でアポトーシスが増加すること、その結果、インスリン存在下、非存在下において細胞内へのグルコース取り込みが低下することを見出した。一方で、PCSによる細胞増殖、分化、アポトーシスへの影響は認められなかった。しかし、PCSはインスリン感受性を抑制するという結果が得られた。このことは、すなわち、進行したCKDにおけるインスリン抵抗性には少なくとも一部尿毒素が関与していること、そしてPCとPCSでは、脂肪細胞、脂肪前駆細胞に与える影響やその機序が異なることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究目的であった脂肪および骨格筋に対する尿毒素の効果について、脂肪前駆細胞を用いた検討では一定レベルの結果が得られており、ほぼ順調に進んでいると考えている。しかしながら、予定していた大学院生のアクシデントのため、骨格筋細胞については、解析が十分に進められていない。また、終末糖化産物(AGEs)についても検討する予定であったが、同様の理由により結果を得るには至っていない。現在、遅れを取り戻すべく実験を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
培養マウス脂肪前駆細胞および骨格筋前駆細胞において、各尿毒素物質が細胞にどのように取り込まれるのか、その機序として関与する分子、シグナル経路、転写因子を定量的real time RT-PCR法、Western blot法などを用いて解明する。尿毒素による細胞障害性を回復する候補分子あるいは候補薬剤を同定するため、各尿毒素物質の細胞内への取り込みや動態について、阻害薬やsiRNAなどの分子手法を用いて明らかにする。また、PCSによりインスリン感受性の低下が認められたため、その障害機序についても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の予定に対して実験進行の遅れが生じており、必要な物品の購入についても予定額に達しなかった。当初予定していた大学院生のアクシデントのためであり、平成25年度に購入できなかった分は平成26年に購入し、実験を進行する予定である。 当初の予定の物品費に前年度分を加える。具体的には、平成25年度未使用分の198千円を予定額の300千円に加算し、498千円の予定とし、旅費などのその他については、当初の計画通りと考えている。
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