研究課題
基盤研究(C)
I.アルドステロン投与ラットにおいてメシル酸カモスタット(CM)投与時の腎臓でのENaCγサブユニットのmolecular weight shiftの解析8週齢のSDラットにA群(6匹)コントロール(浸透圧ポンプ+DMSO投与)、B群(6匹)浸透圧ポンプを用いてDMSOに溶解したアルドステロン(200μg/日)を10日間皮下投与、C群(6匹)アルドステロン+CMペレット(14mg/日)を10日間皮下投与したころ、B群で有意な血清K濃度(2.6±0.1mEq/L)と尿中Na/K比(0.43±0.05)の低下を認め、C群でB群と比較すると有意な血清K濃度(3.1±0.2mEq/L)と尿中Na/K比(0.50±0.03)の改善を認めた。また、B群とC群で血圧、血清Cr、尿蛋白量に有意差は認めなかった。回収した腎臓のmRNAからプロスタシンおよびENaC各サブユニットのmRNAの発現量をreal time PCRにて検討したところ、B群とC群でαENaCの増加を認めたが、βγENaCは変化がなかった。γENaCをウエスタンブロット法により解析し、B群で85→70、C群で85→75kDaのmolecular weight shiftが確認された。II.プロスタシン過剰発現マウスにおいてCM投与時の腎臓でのγENaCのmolecular weight shiftの解析プロスタシン過剰発現マウスの表現型を解析するため、10週齢のプロスタシン過剰発現マウスの血圧、血清BUN、Crおよび尿蛋白量、尿中Na、K排泄量をコントロールマウスと比較検討したが、いずれのパラメーターに関しても有意差はなかった。腎臓におけるプロスタシンのmRNA発現量を検討したところコントロールマウスと比較し、1.5~2倍弱の発現量の増加を認めるのみであった。腎臓のγENaCのウエスタンブロットに関しては現在検討中である。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に従って研究を遂行しており、概ね順調に進展している。当初計画していたDahl食塩感受性ラットにメシル酸カモスタットのペレットを投与する計画はメシル酸カモスタットペレット作製の費用が高いため、アルドステロン投与ラットモデルに絞って研究を進める予定である。
アルドステロン投与ラットにおいてメシル酸カモスタット(CM)投与時に腎臓でののmolecular weight shiftが通常アルドステロン投与群で85→70kDaに変化するところがCM投与群で85→75kDaに変化することが証明されたため、今後はこの変化に関与するセリンプロテアーゼがプロスタシンであるのか、他のセリンプロテアーゼであるのかを中心にmRNAレベルまたは蛋白レベルで解析を進めていく。
III.DNAマイクロアレイ解析を用いたDSラットおよびアルドステロン投与ラットにおける発現亢進SPの同定1.DSおよびアルドステロン投与ラットの腎臓より回収したmRNAを用い、Ambion® WT Expression KitによりcRNAを作製し、作製したcRNAを精製した後、cRNAから2nd-cycle cDNAを合成する。RNase Hを用い、cRNAを加水分解した後、2nd-cycle cDNAを精製し、cDNA産生量とサイズ分布の評価を行う。精製したcDNAをフラグメント化し、DNAの3’末端をビオチン標識する。標識化したフラグメントcDNAをFluidics Station 450/250とGeneChip® Hybridization, Wash and Stain Kitを使用し、GeneChip® Rat Gene 1.0 ST Arrayにハイブリダイズ後、Affymetrix GeneChip® Scanner 3000で蛍光強度をスキャンする。解析ソフトGeneSprig GXを用い、各モデルラットで発現が亢進しているSPを解析する。IV. zymography法を用いたDSラットおよびアルドステロン投与ラットにおける腎および尿中での活性亢進SPの同定1.アルドステロン投与ラットより回収した腎組織の蛋白と尿においてLys-His-Tyr-Arg (KHYR)-MCAを基質としたDouble-layer fluorescent zymography法によりUV照射で検出されるバンドを同定する。バンドが同定できたら、ゲルから切り出して、液体クロマトグラフ・質量分析(LC/MS)にかけてタンパク質を同定する。さらに、同定したSPの腎臓でのmRNA発現についてreal time PCRにて検討する。
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American Journal of Physiology Renal Physiology
巻: 303 ページ: F939-F943
10.1152/ajprenal.00705.2011