研究課題/領域番号 |
24591232
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
山里 正演 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90347138)
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研究分担者 |
石田 明夫 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (10343378)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高血圧 / アンジオテンシンII持続投与高血圧 / 中枢性血圧調節 / 骨髄由来間葉系幹細胞 / 脳室内投与 / ACE2 |
研究実績の概要 |
「脳への骨髄由来細胞の分布不全が脳内レニン-アンジオテンシン系(RAS)および酸化ストレスの抑制不全を引き起こし中枢性機序として高血圧の病態に関連している」という仮説のもと実験を行い、骨髄由来細胞の脳室内自家移植はAng II持続投与による交感神経活動の亢進をおさえ血圧上昇を抑制すること、また、骨髄由来細胞から分泌された液性因子がAng IIの交感神経活動亢進作用に拮抗した可能性が考えられる結果を得た。また、昨年度(H25)は主に使用した骨髄由来細胞の性質について検討を進め、脳室内投与実験で用いた細胞と同じ条件で培養した骨髄由来細胞はパラクリン作用をもち抗炎症作用をもつとされる間葉系幹細胞を含み、ACE/ACE2の発現比が低く局所RASに対し抑制的に働く可能性が示唆された。本年度は培養骨髄由来細胞で確認できた細胞の性質が交感神経活動亢進の抑制機序と関連があるかについて、Ang II持続投与ラットの脳をもちいて検討を進めた。Ang II持続投与ラットの延髄および前脳では、TGF-βおよびAT1受容体の蛋白発現が増加していたが、骨髄由来細胞の脳室内自家移植でその増加は抑制されていた。IL-10の蛋白発現には変化を認めなかった。骨髄由来細胞の培養上清および脳脊髄液、脳組織におけるAng 1-7の濃度測定を試みたが、いずれの検体においても検出感度に達していなかった。以上より脳内骨髄由来細胞はAng IIによる脳内の炎症およびAT1受容体発現増加をおさえ、Ang II持続投与に伴う交感神経活動亢進を抑制する可能性がある。
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