研究課題/領域番号 |
24591236
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
美馬 亨 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30373517)
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研究分担者 |
重松 隆 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (30187348)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | FGF23 / Klotho / 脾臓 |
研究概要 |
線維芽細胞増殖因子(Fibroblast growth factor, FGF)23はこれまで骨組織で産生され、そのリガンドであるKlotho分子は腎臓の遠位尿細管で発現し、リンの再吸収に関与することが明らかにされてきた。一方、我々はこれまでに脾臓においてもFGF23が発現していることを明らかにし、FGF23がリン代謝に関与する以外に新たな生体内の役割を果たしている可能性を示唆してきた。そこで、脾臓におけるFGF23産生細胞の特定とKlotho発現細胞が存在するか否かを検討することにより、新たなFGF23の生体内での役割を明らかにすることを試みた。その結果、FGF23のリガンドであるKlotho分子も脾臓で発現が見られることを定量的PCR法を用いて確認することができた。次に、FGF23産生細胞とKlotho発現細胞の脾臓における分布を明らかにするために酵素抗体法を用いた免疫組織染色を行った。その結果、FGF23産生細胞とKlotho発現細胞の多くがともに脾臓のリンパ濾胞の辺縁帯に認めた。さらに、蛍光抗体を用いたFGF23とKlothoに対する免疫二重組織染色を行ったところ、それぞれの細胞が非常に近接して存在し、何らかの細胞間相互作用をしていることが示唆された。次に、脾臓におけるFGF23産生細胞とKlotho発現細胞を特定するためにフローサイトメーターを用いて解析を行ったところ、FGF23産生細胞については樹状細胞の可能性が、Klotho発現細胞についてはB細胞の可能性が示唆された。現在、Klotho発現B細胞をフロサイトメーターを用いて分離し、その役割を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度は、1.脾臓におけるKlothoの発現の有無 2.脾臓におけるFGF23産生細胞とKoltho発現細胞の分布 3.脾臓におけるFGF23産生細胞とKlotho発現細胞の細胞種の特定 4.脾臓を摘出したマウスを用いた解析を予定していた。 そのうち、1については脾臓より抽出したRNAを用いてKlothoの発現について定量的PCRを行ったところmRNAレベルで発現を確認できた。2については、免疫組織染色でFGF23産生細胞とKoltho発現細胞が脾臓のリンパ濾胞の辺縁帯に存在ししかも非常に近接して存在していたことから、何らかの細胞間相互作用をしている可能性が示唆された。3については、FGF23産生細胞は樹状細胞である可能性が、Klotho発現細胞はB細胞である可能性が示唆された。さらに、次年度の予定であるKlotho発現細胞を分離し解析することについても、Klotho陽性細胞の分離に成功し解析可能となった。4については、FGF23のリン代謝に関与する以外の生体における役割が解明可能となったので、動物愛護の関点からin vitroの実験を優先することとした。 以上のように、脾臓におけるFGF23とKlothoの新たな生物学的意義について明らかにできつつあり、現在、その成果の一部を論文化する準備を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下のことを明らかにしていく。 1.Klotho発現B細胞については、B細胞の分化段階を区別できる細胞表面マーカーと抗Klotho抗体との二重染色によりフローサイトメーターによりKlothoを発現する分化段階を特定する。 2.Klotho発現B細胞と非発現B細胞をフロサイトメーターを用いて分離し、それぞれの細胞のサイトカイン、受容体やそのシグナル系等の遺伝子発現を比較することでKlotho発現B細胞の役割を明らかにする。 3.分離したKlotho発現B細胞をFGF23で刺激し細胞内のシグナル伝達分子のリン酸化を解析することをとうしてその細胞におけるFGF23の生物学的役割を明らかにする。 4.FGF23産生細胞については、樹状細胞に特異的な細胞表面マーカーを用いてフローサイトメーターを用いて分離し、分離した細胞をサイトカインで刺激することで発現の変化を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当せず
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