研究課題
本研究は、赤外イメージング、ラマンイメージング、同位体顕微鏡観察による病態の新規可視化法を確立し、慢性腎臓病(CKD)に伴う骨・カルシウム代謝異常、異所性石灰化、線維化の関連について検討することを目的としている。本年度は、(1)病態の新規可視化法の標準化を行うために、試料の洗浄法、固定化法が赤外イメージに及ぼす影響について検討し、(2)繊維化の計測方法として新たに赤外二色性イメージによる手法を確立した。(1)病態の新規可視化法の標準化では、洗浄法や固定化法を変えた硬組織(大腿骨)と軟組織(心臓・肝臓・腎臓)をそれぞれ用意し、赤外イメージングによる解析を行った。大腿骨皮質骨の赤外スペクトルにおいて、a)未固定、b)エタノール固定、 c)エタノール固定+PMMA包埋した試料では、ヒドロキシアパタイト由来のリン酸(PO43-)バンドの形状や吸光度が著しく異なっていた。また、コラーゲン由来のバンドでは、amide II バンドがPMMA包埋によって高波数側にシフトした。各バンドを用いて骨質を評価した結果、PMMA包埋した試料の石灰化度、結晶化度は高値を示した。一方、赤外イメージングを用いて軟組織のパラフィン包埋切片と凍結切片を比較した結果、包埋剤を除去し易い凍結切片が赤外イメージングやラマンイメージングの試料に適していることが示された。(2) 繊維化の計測方法として新たに確立した赤外二色性イメージングを用いて5/6-Nx、4/5-Nx、Shamラットの心臓における繊維化部位を調べた結果、5/6-Nxラットではより組織の繊維化が進み、繊維化した組織の配向性が高まることが示された。また、赤外二色性イメージングを用いて大腿骨コラーゲン繊維の配向性を調べた結果、CKDにより二次性副甲状腺機能亢進症を発症した大腿骨皮質骨では、骨幹端部で配向性が低下することが示された。
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Bone
巻: 64 ページ: 95-101
10.1016/j.bone.2014.04.005