研究課題/領域番号 |
24591240
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
関口 嘉 順天堂大学, 医学部, 助教 (50599892)
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研究分担者 |
濱田 千江子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50291662)
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キーワード | 腹膜透析 / 組織再生 |
研究概要 |
我々確立した温度感受性SV40T抗原トランスジェニックラット由来中皮細胞株を用いて、 ヒトの維持腹膜透析患者の腹膜傷害に近似した腹膜傷害モデルである持続シリンジポンプ(Alzet pumps)によるクロールヘキシジンを持続的に腹腔内投与の腹膜線維化モデルラットでの移植中皮細胞の組織再生への効果として組織変化(間質(SMC)の厚み)を病理学的に評価した。この結果、腹膜線維化ラットの腹腔内に温度感受性SV40T抗原トランスジェニックラット由来中皮細胞(非増殖中皮細胞)はTGF-βを産生することで炎症細胞の誘導し、さらに移植細胞自身が線維芽細胞に形質転換することで、組織の炎症ならびに線維化を惹起することが明らかとなった。以上の結果を学術雑誌に発表した(Nephrol Dial Transplant. 2014 Feb;29(2):289-300.)。 さらに、移植細胞種を脂肪幹細胞に代え組織再生を検討したところ、脂肪幹細胞では組織再生が促進される結果であり、炎症細胞の浸潤が抑制されるだけでなく間質の線維化が早期に減衰し、治癒過程が加速され組織の虚血が軽減されることも確認した。この細胞種に依存した効果の相違に関して、移植の早い段階での移植細胞種間での比較を今後検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
準備実験で得られた結果から仮説をたて、これに基づき実験を行った結果、仮説合致した結果であったことから、論文化が早まった。しかし、本実験の目的は「中皮細胞移植によって組織の再生を促すこと」で、中皮細胞移植が組織障害を惹起する今回の結果から、さらに移植に際して何らかの形質転換抑制の介入が必要と判断し、現在他のプロジェクトで確認している脂肪幹細胞移植の効果(組織再生への促進)と、本研究結果を比較検討することとした。 このため、今後残された研究期間で移植早期での組織評価ならびにサイトカイン・成長因子のmRNA発現の評価を行い細胞種に依存した再生への効果を比較検討し、再生調整因子の同定に関わる研究を開始する。
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今後の研究の推進方策 |
中皮細胞移植が組織障害を惹起する今回の結果から、さらに移植に際して何らかの形質転換抑制の介入が必要と判断し、現在他のプロジェクトで確認している脂肪幹細胞移植の効果(組織再生への促進)と、本研究結果を比較検討することとした。 このため、今後残された研究期間で移植早期での組織評価ならびにサイトカイン・成長因子のmRNA発現の評価を行い細胞種に依存した再生への効果を比較検討し、再生調整因子の同定に関わる研究を開始する。 既存のサイトカイン・成長因子に関する検討のみでは、細胞種間の再生への効果の差異を評価できない場合は、次世代シーケンサーを用いた分析法を用いた新たな研究を申請する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験消耗品の購入が遅れたため 次年度はこれまでの研究成果の論文化と新たな研究の準備としてサンプルを使った新たな検討を行う。
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