クロールヘキシジンによる腹膜線維化ラットを作成し、このラットに通常腹膜組織の修復に中心的な役割を果たす中皮細胞を外部から腹腔内に移植する事で組織再生が促される事を確認する検討を行った。しかしながら、中皮細胞移植によってむしろ組織線維化が悪化し、組織の修復が遅延する結果であった。中皮細胞移植による再生阻害機序を検討した結果、移植された中皮細胞自体が傷害腹膜組織に存在する炎症生サイトカインや各種成長因子によってRAS/MAPK系が刺激されることで、形質転換を起こし線維芽細胞様の形質となり自らさらに炎症性サイトカインや線維化促進因子を合成分泌することで腹膜組織障害を悪化させることが明らかとなった。
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