研究実績の概要 |
高血圧病態での補体C3の役割について2つ検討を行った。1) SHR/Izmの高血圧病態におけるC3の関与を検討するため、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)法によるC3 KO SHRの作成した。京都大学動物実験SHR/Izm受精卵にZFN mRNAをマイクロインジェクションにより注入し、ZFN注入SHR/Izm受精胚を偽妊娠雌に移植、出産個体しを約3週齢時に遺伝子診断した。SHR雄7-8週齢時に遺伝子変異を有するファンダーを日本大学に移送し系統樹立を行った。C3 KO SHR ヘテロ同士を掛け合わせ、ホモ系統を確立し、F4より実験を行った。血圧はC3 KO SHRではSHRに比較し、約30 mmHg程度低かった。WKY, SHR, C3 KO SHRの腎臓よりメサンジウム細胞を継代培養し、その細胞増殖はC3 KO SHRのメサンジウム細胞で低下していた。2) In vivoでUUOモデルをWildタイプ、C3ノックアウト(KO)マウスに作成し、EMTおよびレニン産生を検討した。UUOではEMTに伴い転写因子LXRαの核内移動により、腎尿細管上皮が間葉化することによりレニンを産生するが、C3 KOマウスではEMTもレニン産生もなく、UUOではEMTによりC3が産生され、LXRαを会してレニンを産生している事を認めた。このように我々はC3は腎尿細管で脱分化、EMT、さらには腎内RA系の活性化を介して高血圧および高血圧性腎硬化に関わっていると考えられた。
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