研究課題/領域番号 |
24591243
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
石橋 賢一 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (80223022)
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キーワード | アクアポリン / 水チャネル / オートファジー / GFP-LC3 / のう胞腎 / 脈絡叢 / 脳浮腫 / ストップトフロー |
研究概要 |
1.全身のオートファゴソームが蛍光標識されるGFP-LC3トランスジェニックマウスとAQP11ノックアウトマウスを交配して、AQP11ノックアウトマウスの生後3日において近位尿細管でのトートファジーが亢進していることが確認された。その後のう胞形成まで皮質の深い部分にオートファジーが強く、浅い部分では弱くアポトーシスが亢進していることが示唆された。さらに絶食によるオートファジーの誘導でも、AQP11が半分しかないヘテロマウスのほうが野生型マウスよりオートファジーが強く誘導された。 2.AQP11ヘテロマウスではシスプラチン腎障害が野生型マウスより強く出ることがあからかになり、活性酸素を軽減させるD-システインの経口投与で腎障害が軽減した。 3、脈絡叢の細胞内空胞がAQP11欠損でみられるのにオートファジーが関与しているかどうかを検討する目的でGFP-LC3を観察したが誘導は確認できなかった。さらに脈絡叢細胞での遺伝子発現の差があるかどうかマイクロアレイも試みたが、検体が十分とれずAQP11欠損による遺伝子発現変化は未確認である。さらに、東北大学寺崎哲也教授から脈絡叢の株細胞をいただいてAQP11の発現がみられるかPCRで確認した。 4.AQP11が脳浮腫に関連しているかどうかをみる目的で、片側の内頸動脈を一過性に縛ってできる脳梗塞モデルでのAQP11発現による生存率への影響を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1、当初の目的である、全身のオートファゴソームが蛍光標識されるGFP-LC3トランスジェニックマウスとAQP11ノックアウトマウスをかけあわせることでAQP11欠損によるオートファジーの状態があきらかにできるマウスは順調に作成できた。 今後、条件をそろえた腎障害モデルを作成して比較する必要があるため、交配を多くして十分な実験マウスの確保していく必要がある。また、オートファジーが経時的に起きてLC3が視覚化できるのは一過性であるため、生後日数のそろったマウスで比較できるように十分な実験マウスを確保していく必要がある。 2、条件を整えた実験を行う目的のAQP11ノックアウトマウス腎臓からのプライマリーカルチャー(初代培養)も進行中である。 3、脈絡叢のマイクロアレイや培養細胞などの導入をすすめている。 4、腎、脳の部分だけでなくそれ以外の、肝、精巣、胸腺、白血球、小腸などAQP11の発現の多い組織でのオートファジーの検討が進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
1、オートファジーとAQP11の関係を近位尿細管で十分あきらかにする。western blotなど定量的な手法を導入する。 2、LC3に依存しないオートファジーの可能性についても検討する。 3、腎以外は別のメカニズムがあるかもしれないので、GFP-LC3をマーカーにして簡便に全身のオートファジーの状態についてあきらかにして、オートファジーの関与がある組織と無い組織にわけてその違いを検討できるようにする。 4、最終年度では治療薬の開発につながりそうなD-システインのような病変を軽減させる可能性がある薬剤の検討にも力を入れる。 5、条件を整えた実験を行うことができるプライマリーカルチャー(初代培養)や株細胞による実験ができるようにターゲットになる分子を組織の研究で明らかにして、条件設定をした状態での薬物の効果を基礎検討できるようにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
プラスチック消耗品の在庫があったので使用せずに残金となってしまった。 試薬の消耗品として使用する予定
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