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2012 年度 実施状況報告書

認知症疾患のシナプスを標的とした病態解明と治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24591246
研究種目

基盤研究(C)

研究機関弘前大学

研究代表者

瓦林 毅  弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (90186156)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードシナプス / アルツハイマー病 / レビー小体型認知症 / リピドラフト / 信号伝達 / オリゴマー / シヌクレイン / NMDA受容体
研究概要

1.アルツハイマー病モデルマウスTg2576,タウオパチーモデルマウスTgTauP301L,レビー小体型認知症モデルマウスTgαSYNの脳からシナプス分画,後シナプス分画およびlipid rafts分画の抽出を行い,これらの分画に含まれる物質の同定をwestern blottingにて行った.それぞれのマウスで発現させたアミロイドbeta蛋白(Abeta),タウおよびα-synucleinがシナプス分画などに経時的に蓄積していた.さらにシナプス毒性が最も強いと考えられる Abeta oligomerがシナプス分画に経時的に蓄積することを示した.
これらの神経変性疾患モデルマウスと対照のwild typeマウスにて信号伝達系の比較検討を行うと,グルタミン酸伝達系およびインスリン伝達系などの関連蛋白の異常が認められた.fynの増加,タウリン酸化酵素の蓄積と共にタウおよびα-synucleinのリン酸化が促進されることを見いだした.
2.モリス水迷路試験を行い,Tg2576マウスの行動実験の出現時期を同定した.
3.アルツハイマー病,レビー小体型認知症患者脳のパラフィン切片で免疫染色を行い,Abetaやリン酸化α-synucleinの蓄積と共にdrebrinなどの後シナプス蛋白が減少することを認めた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.各モデルマウスの飼育
アルツハイマー病モデルマウスTg2576,タウオパチーモデルマウスTgTauP301L,レビー小体型認知症モデルマウスTgαSYNのそれぞれについて飼育繁殖を行い,尾から抽出したDNAのPCRでgenotypingを行った.実験に必要な数を揃えつつある.
2.マウスの行動実験と脳の抽出,パラフィン切片作製
マウスの行動実験を行い,学習障害の開始時期の検討を開始した.マウス脳からシナプス分画を抽出した.月齢毎の解剖によってパラフィン切片を作製しつつある.
3.シナプス,シナプスlipid raftsの解析
シナプス分画のwestern blotによってシナプス関連蛋白の回収を確認した.発現蛋白およびAbeta oligomerのシナプス分画への蓄積を確認した.アルツハイマー病,レビー小体型認知症患者脳にてシナプス蛋白の免疫染色による解析を開始した.

今後の研究の推進方策

引き続きマウスの繁殖を行って実験に必要な数を得る.マウスの解剖を経時的に行い,脳抽出液,パラフィン切片,血液および脳脊髄液の経時的なデータベースを作製する.
マウス脳からのシナプス分画,後シナプス分画,lipid rafts分画の抽出を確認し,今後シナプス分画からさらにlipid raftsの抽出を行う.Tg2576マウス以外でのモリス水迷路試験から学習障害の出現時期を決定し,薬剤投与時期を決定する.
アルツハイマー病およびレビー小体型認知症患者の凍結脳からシナプス分画の抽出を行い,その変化をwestern blottingで検討する.
培養細胞系を用いてシナプスを標的とする薬剤の選択を行う.

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] SORL1 Is Genetically Associated with Late-Onset Alzheimer's Disease in Japanese, Koreans and Caucasians.2013

    • 著者名/発表者名
      Miyashita A, Koike A, Jun G, Wang LS, Takahashi S, Matsubara E, Kawarabayashi T, Shoji M, et al.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 8 ページ: e58618

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0058618

    • 査読あり
  • [雑誌論文] アルツハイマー病診断のバイオマーカー-最近の進歩- 血液・CSF中のアミロイドタンパクとタウタンパクおよびリン酸化タウ2013

    • 著者名/発表者名
      瓦林毅 東海林幹夫
    • 雑誌名

      老年精神医学雑誌

      巻: 24 ページ: 119-124

  • [雑誌論文] Sortilin is required for toxic action of Aβ oligomers (AβOs): Extracellular AβOs trigger apoptosis, and intraneuronal AβOs impair degradation pathways2012

    • 著者名/発表者名
      Takamura A, Sato Y, Watabe D, Okamoto Y, Nakata T, Kawarabayashi T, Oddo S, Laferla FM, Shoji M, Matsubara E
    • 雑誌名

      Life Sci

      巻: 91 ページ: 1177-1186

    • DOI

      10.1016/j.lfs.2012.04.038

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 認知症の診断:アルツハイマー病(AD)を中心に AD診断におけるバイオマーカー2012

    • 著者名/発表者名
      瓦林毅 東海林幹夫
    • 雑誌名

      Progress in Medicine

      巻: 32 ページ: 2557-2562

  • [雑誌論文] 認知症と臨床検査 認知症の病態2012

    • 著者名/発表者名
      瓦林毅 東海林幹夫
    • 雑誌名

      臨床検査

      巻: 56 ページ: 22-30

  • [雑誌論文] 神経疾患治療の進歩2011年 認知症の治療の進歩2012

    • 著者名/発表者名
      瓦林毅
    • 雑誌名

      神経治療学

      巻: 29 ページ: 375-379

  • [学会発表] 経口AbetaワクチンはADモデルマウスの行動障害を改善する.2013

    • 著者名/発表者名
      瓦林毅,仲田祟,若佐谷保仁,松原悦朗,東海林幹夫
    • 学会等名
      第54回日本神経学会学術大会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム
    • 年月日
      20130529-20130601
  • [学会発表] Abeta重合化がアルツハイマー病の脳脊髄液中で亢進している.2012

    • 著者名/発表者名
      松原悦朗,仲田崇, 中畑直子, 若佐谷保仁, 瓦林毅,東海林幹夫
    • 学会等名
      第29回日本老年医学会東北地方会
    • 発表場所
      弘前
    • 年月日
      20121029-20121029
  • [学会発表] sortilinがAbeta;重合体の神経毒性発現を制御している.2012

    • 著者名/発表者名
      松原悦朗,瓦林毅,仲田崇,若佐谷保仁,東海林幹夫
    • 学会等名
      第31回日本認知症学会学術集会
    • 発表場所
      つくば国際会議場 (茨城県)
    • 年月日
      20121026-20121028
  • [学会発表] Abeta oligomers in lipid rafts impair signal transduction pathways in transgenic mouse model of Alzheimer’s disease.2012

    • 著者名/発表者名
      Kawarabayashi T, Nakata T, Wakasaya Y, Matsubara E, Shoji M
    • 学会等名
      Neuroscience 2012, the Society for Neuroscience, 42th Annual Meeting
    • 発表場所
      New Orleans (アメリカ)
    • 年月日
      20121013-20121017
  • [学会発表] Abeta oligomerはlipid raftsの信号伝達系を障害する.2012

    • 著者名/発表者名
      瓦林毅,仲田祟,若佐谷保仁,松原悦朗,東海林幹夫
    • 学会等名
      第53回日本神経学会学術大会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム
    • 年月日
      20120523-20120525
  • [備考] 弘前大学大学院医学研究科 脳研 脳神経内科学講座

    • URL

      http://www.h-shinnai.jp/

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公開日: 2014-07-24  

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