研究概要 |
週齢8週の雌Lewis ratに対しMBPで古典的EAEを惹起後, 種々の容量の NMO-IgGを腹腔内投与し, 継時的な臨床評価・尾採血および剖検を通して, ヒト精製NMO-IgG投与群によるNMOの免疫病態としてのアストロサイトパチー病態並びに脱髄機序について検討する。また, 採取した血清をアクアポリン4(AQP4)発現HEK293細胞あるいはELISAにより血中の抗AQP4抗体体濃度を測定し,この系におけるNMO-IgGの体内動態並びに最適投与量を検討した。 対象 LEW/CrlCrlj 雌 8週8匹 (チャールズリバー)、 以下のように投与容量を設定した。 ①MBP/CFA-EAE誘発後, 1mgの抗NMO-IgG抗体を投与した群、②MBP/CFA-EAE誘発後, 100μgの抗NMO-IgG抗体を投与した群、③MBP/CFA-EAE誘発後, 10μgの抗NMO-IgG抗体を投与した群、④MBP/CFA単独投与、⑤正常対象群。 1匹あたりMBP 100μgとCFA 100μgのエマルションをLewis ratのfoot padに皮下注射すると, 臨床病理上EAEの再現ができることを確認した。 EAE発症後に患者血清由来のNMO-IgGを腹腔内投与すると, 血管周囲および軟膜下にAQP4のlossが出現し, その一方で脱髄は部分的に認められ, 病理学上NMOに特徴的なアストロサイト障害を誘発できることを確認し、容量依存的であった。一方、正常対象群ではAQP4の脱落は認められず、NMO-IgG特異的な現象であることが確認された。脱落パターンは、主に血管中心性パターンを示すものの、一部で髄膜側からの直接的な病態が示唆された。慢性期にはAQP4の脱落は、発症早期から回復が認められることを確認した。
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