研究課題/領域番号 |
24591250
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
藤田 行雄 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70420172)
|
研究分担者 |
岡本 幸市 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00124652)
池田 将樹 群馬大学, 医学部, 講師 (50222899)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 |
研究概要 |
1.筋萎縮性側索硬化症でみられる神経細胞内封入体の主要構成蛋白として2006年にTDP-43が同定された.さらに2009年にはFUSが家族性ALSの原因遺伝子の1つであることが同定された.FUSとTDP-43は両者ともRNA関連蛋白であり,ALSの病態にRNAが深く関与していると考えられているが,その詳細は明らかではない.今年度我々はTDP-43とFUSのALS患者の神経細胞内での関連を明らかにすることを目的とした.方法:TDP-43陽性封入体を有する通常の孤発性ALS(ALS-TDP)とFUS陽性封入体を有するALS(ALS-FUS)の脊髄パラフィン包埋切片を用いて,封入体を有する神経細胞でのTDP-43およびFUSの局在について免疫組織学的に検討した.結果:ALS-TDPでは多数のTDP-43陽性封入体が前角細胞内に認められたが,その細胞においてはFUSの核への局在が低下している神経細胞が多かった.TDP-43とFUSが共存していたのは1つの封入体のみであったが,TDP-43の凝集がFUSに何らかの影響を与えていることが示唆された.一方でALS-FUSではFUS陽性封入体を有している神経細胞の全てでTDP-43はコントロールと同様に核に染色性がみられ,ALS-FUSはALS-TDPとは独立した疾患の可能性があると考えた. 2.BTBD10はAkt3の結合因子として同定され,BTBD10の高発現によりSOD1変異体が持つ神経細胞への毒性を抑制することが報告されているが,今年度我々はBTBD10の発現が低下した神経細胞ではTDP-43の局在に異常を来すことを孤発性ALSにおいて確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.TDP-43とFUSの関連については神経病理学的手法を用いて明らかにしており,現在論文投稿中である. 2.ELP3の病理学的異常については明らかに出来ているが,遺伝子の異常については不十分である. 3.顔面神経引き抜き損傷ラットにおける検討は抗体の至適濃度等について検討中である. 4.BTBD10の孤発性ALSにおける分布の異常については既に論文発表をしている
|
今後の研究の推進方策 |
1.TDP-43とFUSの関連については免疫電顕による手法を加えて検討する予定としている. 2.ELP3の孤発性ALSにおける異常については免疫組織学的検討に加えて1.と同様に免疫電顕による検討を加える予定である. 3.顔面神経引き抜き損傷ラットにおけるTDP-43の異常について,時間的経過を追って検討する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
抗体の購入,免疫電顕に用いる試薬,器具の購入,成果発表のための投稿費,旅費にあてる.
|