研究課題/領域番号 |
24591252
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
石川 欽也 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (30313240)
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キーワード | 神経疾患 / 遺伝子 / マイクロアレー / 病態 / RNA |
研究概要 |
脊髄小脳失調症(SCA)は有効な治療法が無い重篤な常染色体優性遺伝性の難病である。近年ゲノム非翻訳領域からの転写産物、いわゆるnon-coding (nc)RNAが、遺伝子発現調節や染色体構造維持など多数の重要な機能を担うことが知られ、ncRNAの変異による神経疾患も多数発見されている。本研究では、本邦で頻度が高く、原因がncRNAであるSCA31について、患者脳、自作モデルマウスでRNA-seqを行い、患者でまず異常発現するncRNAを同定し、次に患者iPSやショウジョウバエモデル、マウス小脳初代培養組織を用いてその意義を究明し、最終的には重要な関与をするncRNAの発現制御による治療法開発へ挑戦する。 初年度は、自作モデルマウスで患者脳と同様のRNA異常構造物を認め、小脳における遺伝子発現解析を進めた。第2年度では、患者脳を用い、対照脳よりも上昇・低下する遺伝子の確認を定量的RT-PCRで確認した。しかし、プルキンエ細胞以外の細胞から発現している遺伝子も多数検出されてしまう欠点に遭遇した。このため、レーザーマイクロダイセクション法を用いて、プルキンエ細胞層のみからRNAを採取する条件検討を行った。これには9か月程の時間を要し、漸く平成25年度にその条件を決定しつつある状況にたどり着いた。最終年度である平成26年度にはプルキンエ細胞に異常発現するRNA分子を探索する。 また、患者脳における異常発現蛋白の解析の一つとして、免疫組織化学的な検索を行った。変異遺伝子の産物に対する抗体を別研究ですでに作製してあったため、その特異性の確認を行い、脳組織において確かに変異遺伝子の翻訳産物が発現していることを見出した。海外の研究者と共同研究を行う合意が平成25年度に得られたため、更に変異遺伝子の翻訳産物の検索を平成26年度進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々が自作したモデルマウスでは、確かに患者脳と同様の変異遺伝子の発現が得られ、異常RNAの異常構造物が認められている。モデルマウスでのRNA採取はほぼ順調に進められたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、レーザーマイクロダイセクション法での組織抽出を完成させ、RNA-seqもしくはマイクロアレー遺伝子発現解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進捗によりレーザーマイクロダイセクション法での組織抽出条件をを完成させる必要が生じたため、平成25年度はそれを行った。これによりRNA-seqもしくはマイクロアレー遺伝子発現解析を平成26年度に行う。 本研究費でマイクロアレー遺伝子発現解析やRNA-seqの費用に補填する。
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