研究課題/領域番号 |
24591258
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
竹内 英之 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (30362213)
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キーワード | TDP-43 / 神経変性 / ノックアウトマウス / 前頭側頭葉型認知症 / 筋萎縮性側索硬化症 |
研究概要 |
前頭側頭葉型認知症/筋萎縮性側索硬化症(FTLD/ALS)の原因タンパクの一つとしてTDP-43が同定されたが、TDP-43による神経変性の機序が、toxic gain-of functionあるいはloss-of-functionによるものかは未だ判然としていない。そこで、本研究では、TDP-43のloss-of-functionによる神経変性の機序解明のため、神経特異的かつタモキシフェン誘導性TDP-43コンディショナルノックアウトマウスを作出し、その表現型を解析した。 TDP-43 floxホモマウスとThy1.2-Cre-ERT2マウスの交配によって、Thy1.2-Cre-ERT2/TDP-43 floxホモマウスを作出し、5μモル/kgのタモキシフェンを5日間経口投与することで、任意のタイミングで内因性のTDP-43のノックアウトを行った。体重、生存率、運動機能(Rotarod、Wire hanging)、病理学的解析を1週間毎に試行した。認知機能(営巣、open field、NORT)は3週目に試行した。すると、マウスの週齢に関わらず、TDP-43のノックアウト後、約2週間から振戦、claspingといった運動異常が顕在化し、次いで認知機能の低下を認めた。4週目からは麻痺と筋萎縮が顕著となり、約5週間で衰弱死した。病理学的には海馬、脊髄の軽度の神経細胞脱落と高度のグリオーシスを認めた。本モデルがFTLD/ALSの表現型を再現することから、TDP-43のloss-of-functionがTDP-43による神経変性の一機序を担うと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、神経特異的かつタモキシフェン誘導性TDP-43コンディショナルノックアウトマウスを作出し、その表現型が前頭側頭葉型認知症/筋萎縮性側索硬化症の症状を呈することが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、本モデルを用いて新規の診断・治療法の開発を進める予定である。
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