研究課題/領域番号 |
24591261
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福永 雅喜 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教 (40330047)
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研究分担者 |
森 勇樹 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教 (10559355)
森田 将史 大阪大学, 学内共同利用施設等, その他 (30381594)
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キーワード | MRI / 磁気共鳴画像法 / 多発性硬化症 / 脱髄 / マンガン造影 MRI |
研究概要 |
本研究は、慢性期多発性硬化症に伴う高次脳機能障害の直接的な要因と考えられている皮質病巣の新規MRI高感度検出法の開発と実験的自己免疫性脳脊髄炎モデルを用いた病態解析を目的とする。ミエリン密度を高度に反映する画像法の開発と炎症性細胞浸潤の動態解析を可能とする MRI 法を導入し、多発性硬化症皮質病巣の形成過程、進展および白質病巣との関連について、多角的かつ継続的に追跡し病態に迫ることを目指す。本年度 (H25) は、昨年度までの技術的基盤整備に引き続き、グリア細胞活性化の検出法として期待されるマンガン造影 (MEMRI: Manganese Enhanced MRI) 法の開発・改良を実施し、多発性硬化症皮質病巣の動態モニタリング法の最適化と、高度の髄鞘形成障害を発生させるクプリゾン投与による脱髄モデルに適用した。投与前から投与後5週まで継続的にMRI撮像を実施し、脱髄の形成過程を経時的に追跡し、MRIコントラストの時系列変化について検討を行った。その結果、一般的なT2強調MRIでは、病理組織学的な脱髄形成と一致したコントラストの経時変化を示したが、マンガン造影MRIでは、ミクログリア集積の経時変化に一致したMRIコントラストの変化を示し、グリア細胞活性化に特異的なコントラストを示す可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、初年度に開発を実施した高感度皮質脱髄検出法(MWI、磁化率効果増強法)の最適化と、実験的自己免疫性脳脊髄炎モデルによる多発性硬化症を想定した炎症性細胞浸潤動態の計測と、クプリゾン脱髄モデルにより脱髄形成過程を単一マウスを対象に経時的観察の実施を計画した。その結果、慢性期脱髄モデルでは、マンガン造影 MRI にて、グリア系細胞の活性や病態に特異的なコントラスト像が得られたため、組織像や遺伝子発現などの手法を用いて検証を行った。脱髄病態検出に高い再現性の見られるコントラスト増強法の確立に一定の成果が見られているが、急性期炎症モデルにおける脳への細胞浸潤を対象とした免疫系細胞の in vivo トラッキングを高感度で実現するための磁気粒子検出法では十分な検出感度が得られず、皮質病巣の検出への応用に関して計画よりやや遅れているため、急性期炎症造影に応用しうる Myeloperoxidase に感受性のある MRI造影剤 (MPO-Gd) の初期検討・合成を実施し、次年度以降の生体応用の整備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究計画最終年度であり、今年度までに確立した多発性硬化症の高感度MRI検出法を、モデルマウスに適用し皮質病巣の検出に適用すると共に、慢性期脱髄病態との関連解析にも応用する。また、今年度までに得られた成果を、海外学会で発表を予定している。研究代表者の福永は、平成26年4月に大阪大学から生理学研究所に異動するが、引き続き大阪大学免疫学フロンティア研究センター、また新たに放射線医学研究所分子イメージングセンターにて研究継続の許可を得ており、分担研究者の森と共に研究を実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた磁気粒子検出法では、急性期炎症モデルにおける脳への細胞浸潤に対して十分な検出感度が得られなかったため、Myeloperoxidase 高感度 MRI造影剤 (MPO-Gd) の応用に変更したこと、マウス脱髄疾患モデル作成には、長期の飼育・観察が必要であるが、研究代表者の異動が決定したため、研究実施スケジュールに変更が発生した。 研究代表者の福永は、平成26年4月に大阪大学から生理学研究所に異動するが、引き続き大阪大学免疫学フロンティア研究センター、また新たに放射線医学研究所分子イメージングセンターにて研究継続の許可を得ており、分担研究者の森と共に研究を実施する予定である。また、Myeloperoxidase 高感度 MRI造影剤 (MPO-Gd) 作成は終了している為、生体応用への整備は終了しており、平成25年度未使用分を充当し平成26年度に実施予定である。
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