研究課題
本研究では、慢性期多発性硬化症に伴う高次脳機能障害の直接的な要因と考えられている皮質病巣の新規MRI高感度検出法の開発と動物モデルを用いた病態解析を目的とし、ミエリン密度を高度に反映する画像法の開発と炎症性細胞浸潤の動態解析を可能とする MRI 法の導入を進めた。磁化率効果に感度の高いグラディエントエコー法による強度および位相画像(周波数画像)では、ミエリン密度を高度に反映していた。慢性期脱髄モデルでは、一般的な T2 強調画像で得られるコントラストは髄鞘密度に一致していたが、マンガン造影 MRI (MEMRI: Manganese Enhanced MRI) では、ミクログリア集積およびミクログリアマーカーの発現の経時変化により類似した MRI コントラストの変化を示し、グリア細胞の活性や病態に特異的なコントラストを示す可能性が示唆された。これらの成果は、ISMRM annual meeting (2014) にて報告した。急性期炎症モデルにおける脳への細胞浸潤を対象とした免疫系細胞の in vivo トラッキングを高感度で実現するための磁気粒子検出法では十分な検出感度が得られなかったため、H25年度までに慢性期脱髄にて検討を実施したマンガン造影法を、実験的自己免疫性脳脊髄炎 (EAE) モデルに応用した。その結果、重症度の高いモデルマウスでは、脳室周囲に造影効果がみられたが、白質の脱髄発生部位、その周囲の灰白質では微弱な造影効果が観察された。また、EAE スコアで重症度の高いマウスを選択的に複数回感作させることにて重傷・慢性化を試みたところ、症状の持続はみられたものの、マンガン造影法では急性期モデルとの相違は観察されなかった。本研究にて、グリア細胞の活性に特異的なMRIコントラストを得たが、皮質病巣の描出には、さらなる感度改善が必要と考えられた。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
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