研究課題/領域番号 |
24591263
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
池田 佳生 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00282400)
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研究分担者 |
倉田 智子 岡山大学, 大学病院, 助教 (40598562)
森本 展年 岡山大学, 大学病院, 助教 (60598556)
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キーワード | 脊髄小脳変性症 / 運動ニューロン疾患 / spinocerebellar ataxia / NOP56 / 筋萎縮性側索硬化症 / TDP-43 / FUS/TLS |
研究概要 |
脊髄小脳変性症と運動ニューロン疾患の特徴を併せ持つspinocerebellar ataxia type 36 (SCA36)/Asidanの分子病態解明のため以下の検討を行った。SCA36/Asidanの原因遺伝子nucleolar protein 56 (NOP56)は核小体に局在するタンパクと報告され、生理的機能としてpre-rRNA processingに関与していることが判明しているが、その詳細については十分に解明されていない。また、運動ニューロン疾患の代表である筋萎縮性側索硬化症(ALS)においてもTDP-43やFUS/TLSといったRNA結合タンパクの病態への関与が注目され、mRNAスプライシングや転写制御などRNAを介した細胞内プロセスに深く関わっている事が明らかになった。以上よりSCA36/Asidanの病態においても、これらの因子の関与が注目される。本検討ではALSモデル動物であるG93A変異型SOD1トランスジェニックマウス(Tgマウス)の腰髄、頚髄、舌下神経核、大脳皮質(運動野領域)および小脳皮質を用いて、NOP56、TDP-43およびFUS/TLSの発現様式を経時的に解析した。結果として、Tgマウスは野生型マウスと比較して運動障害の発症早期(14週齢)から腰髄および頚髄の下位運動ニューロンにおけるNOP56蛋白発現減少を認め、症状の進行と共にさらに低下を示した。またTDP-43およびFUS/TLSについては晩期(18週齢)以降の蛋白発現減少を認めた。Tgマウスの大脳皮質と小脳皮質においてはこれらの蛋白の減少は認めなかった。以上からALSの運動ニューロン変性におけるNOP56の発現減少を介したRNA調節障害の関連が示唆され、NOP56を原因遺伝子とし運動ニューロン障害を伴うSCA36/Asidanにおける運動ニューロン変性への関与も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
spinocerebellar ataxia type 36 (SCA36)/Asidanの臨床遺伝学的特徴を明らかにし、ALSモデル動物であるG93A変異型SOD1トランスジェニックマウスの解析によりSCA36/Asidanの分子病態について明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
現在SCA36/Asidanの培養細胞モデルを作成中であり、本モデルが病態を反映することが明らかになれば、さらにSCA36/Asidanマウスモデルを作成予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度についてはほぼ予定どおりに使用したが、ごく少額の未使用が生じた。 未使用は少額のため、次年度に加えて使用する。
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